非恋愛対象【御幸一也】 (ページ12)

今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:45,241 hit

10話ページ12

御幸side

『Aが帰るの遅くならないように見といて？』

貴子先輩が帰る途中にたまたま遭遇し言われた言葉。どうやらA先輩はまだ何かしらの作業をするためにマネ室に残っているらしい。

(…危機感ないのあの人)

本当に俺より歳上なのか、と疑うほどあの人は鈍い。マネージャーのくせに男のこと分かっちゃいねぇ。

想いを寄せる身としてはまぁ、いつもいつもハラハラしているのだ。

寮へ戻る途中マネ室を見るとまだ電気がついている。時刻はもう22:00。

｢…ったく｣

こんな時間まで残るなんて何してんだあの人。今日はもう切り上げさせて、何としてでも帰らせねぇと。

そして、マネ室へ足を向けるとガタンッ！！という音と先輩の｢やめっ…｣という声が聞こえた。大きくもない声だったが、聞こえてしまうのは惚れているから？なんて考えている暇もなく急いで、マネ室へ向かう。

マネ室へ近づけば近づくほどガタガタと物音が大きくなるばかりだ。中が見えないここからは何が起きているかが全くわからない。今の俺にはただ先輩の無事を祈ることしか出来なかった。

・

・

・

・

・

扉を勢いよく開ける。

｢先輩！｣

そう言いながらマネ室へ入ろうとすると、男が空を飛んでいた。

｢！？｣

手をパンパンとはたいている先輩を見れば子の人が投げ飛ばしたことは一目瞭然であった。

そして、先輩は俺に気づく。

｢…御幸！？｣

｢いやー、お見事っつーか何があったんすか？｣

気絶をしている大学生と思われる男二人。なぜ、こんな所にいるのか、当事者じゃない俺には理解不能な状況だった。

｢なんかこの人たち勝手に青道の敷地に入ったみたいだ。それで電気のついてるこの部屋に来たら私がいて｣

ここまで言ってくれればもう理解出来た。

｢そんで先輩が襲われそうになったけど、むしろ返り討ちにしちゃったわけっすか？…ぷっ、さすが先輩｣

(この人たちどうすれいいばんだ…？)

先輩に投げられた人達は気絶していてどうしようもない。先生に連絡をするべきなのだろうか…。

｢先輩、どーしますこの人た…ち…｣

この人たちをどうしようか先輩に判断を任せようと聞こうとするが、先輩をみると腰を抜かしたようにペタッと地面に座る先輩がいた。