9話 ページ11
｢はぁ…今日も疲れたぁー｣
｢A先輩、いくらマネ室だからってスカートのまま足開かないで下さいよ！！｣
部活後、マネ室でくつろぐ私に怒る幸。男もいないのだから、これくらい許して欲しいところだ。それに私先輩なのにこれだけ怒られていいのだろうか。
｢Aには何を言っても無駄よ？｣
｢そうですよね、貴子先輩が言っても聞かないくらいですもん｣
｢今日、幸私に対してあたり強い！？｣
｢そんなことないですよー？｣
まぁまぁ生意気な後輩だが、大事な後輩達だ。こんな風にマネ室で話すことも大事な時間。
｢てか、みんなもうこんな時間だよ？早く帰りなー。｣
｢あ、ほんとだ！もうこんな時間！！…って、Aは帰らないの？｣
｢あー、ちょっとやることあるからさ？気にしないで先帰ってて！｣
貴子にそう言うとあまり納得はしてなさそうだが、｢遅くならないように｣と言い残して、マネ室を出ていった。
｢…さて、やりますか｣
鞄を開け筆箱を出す。そして棚からスコアブックを出して、ペンをとる。
この前の試合のスコアをまとめていなかったため、残ってやることにしていたのだ。大会が近いから、少しの情報も無駄にはできない。
ボールの球種によって色分けをしたり、できるだけみんなが見やすいような工夫をする。まぁ、これは貴子直々に教えてもらったものだけど…。
｢ここはこの色で…こっちが…｣
ボソボソと声に出してしまうが、マネ室にどうせ1人だから気にもしない。
私は集中力を切らさず、やり続け、あと少しという所で1度休憩を挟むことにした。
水筒のお茶を飲んでいると、マネ室の扉を開ける音がした。
｢はーい｣
きっとスコアを誰かが取りに来たのだろうと思い、誰が来たかを確認せずに返事をしてしまった。すると、、、
｢…へぇ、いいね。生の女子高校生｣
という聞いたことの無い声がした。バッと顔を上げ扉を見るとそこには2人組の大学生と思われる男がいた。
｢…どちら様で｣
｢ここの学校セキュリティ一ゆるゆるなのね、私立のくせに｣
どうやら勝手に入ってきたようだ。…それに加え酒も飲んでるらしい。大分酒臭い。
｢あの、出てって貰えませんか。先生呼びますよ？｣
｢先生呼ぶって言ったって、もう大体帰ってるでしょ。お嬢ちゃんなんでこんな時間まで学校にいるの｣
そう言われ時計を見ればもう22:00を針がさそうとしていた。
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作者名：時雨 | 作成日時：2019年1月16日 20時
