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強く抱き締めること ページ9

次の日も彼は来なくて、さらに次の日、私はお菓子を作るのを一旦やめた。
いつになったら来るのかと待ちながら作り続けるのは、私には辛くて仕方がない。また鈴屋さんが戻ってきたら作ろうと決めた。

そのときには、「おかえりなさい」って言って渡せたら。


そんな幻想を抱きながら、今度私が所属する班に任された喰種討伐作戦の計画を練っていた。練っているといっても中心的なものではなくって、簡単な意見の様なものだからすぐに終わってしまう。会えないイライラをキーボードを打つ手にぶつけてみたって何も変わらない。

好きになってしまったからは早かった。
会えないだけでここまで精神的に来るし、会って一緒にお菓子を食べて、話して、あわよくば触れたいだなんて考えばかり浮かんでくる。
あいたい、とうわ言のように呟いた。

「A!! ちょっとというか……結構すごい人が呼んでる」

部屋に入るなり、ぱたぱたと私のところに同僚が駆けてくる。すごい人って誰だろう。ぐるぐる考えても思い当たる節はない。他の班の方だろうか。
――もしかして、鈴屋さんだったり。

(いやいや……あの人がわざわざ来てくれるわけないか)

ぶんぶんと頭を振って掻き消す。なんだってあの人が、特別な存在でもなんでもない私のところに来るわけなんてない。
自分で言っておいて悲しくなったけど、とにかく廊下に出て“私を呼んでいる”という人を覗いた。

「鈴屋さん、?」
「A〜! 久しぶりですね」
「嘘……」

視界が歪んで、頬が濡れていく。数日ぶりに見た鈴屋さんをしっかり目に焼き付けたいのに歪んだ視界がそれを許さなくて、彼の手を握ることしかできない。
なんで泣いてるですか、と掴んでいない方の手でそっと下瞼を拭われる。
私、泣いているのか。きっと安心したからだろう。もし鈴屋さんが殉職してしまっていたら、とか身に何かあったら、と無駄なほど悪い考えに進んでしまっていた分、会えた時の安堵は大きかった。

「ずっと……ずっといないし、阿原さんは何も教えてくれないし、心配したんですから……」

涙は止まる気配をみせなくて、ひたすらに流れ落ちる。私の頬を包み込む鈴屋さんのても濡れてしまう。「早く謝らないと」と頭ではわかっていても、言葉にならない。

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葵祭 - 鈴屋くんかっこいい( ・∇・)面白かったです!!(*^▽^)/★*☆♪ (2018年7月8日 8時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
大谷しおる(プロフ) - 芋蟲さん» ありがとうございます…!! (2018年3月20日 10時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
芋蟲(プロフ) - すごく面白かったです!完結、おめでとうございます。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: 19ce6d312e (このIDを非表示/違反報告)
大西(プロフ) - 青春ログアウトさん» コメントありがとうございます…!什造くん素敵ですよね;;文も褒めていただいて嬉しいです〜!更新頑張ります!! (2018年1月31日 0時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
青春ログアウト(プロフ) - 鈴屋さん好きなのでこの作品見つけた時すごい嬉しかったです!話の方も素晴らしい文才で、読みやすくて尊敬です!更新頑張ってください(*^^*) 応援してます! (2018年1月30日 20時) (レス) id: 879efebfe2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大西 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年1月28日 18時

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