側にいること ページ19
あれから私は完全復活を果たして、いつもと同じように書類整理に勤しんでいた。
「黒崎、最近よく働くな」
「いやあ、書類整理がいつも以上に捗っちゃって」
復活してから数日経つけれど、私はとにかく仕事をしまくっていた。もちろん上司や同僚には心配されたけど、元々仕事は嫌いではなかった。でもそれを知っている人達が驚く程に書類の記入と提出を鬼のようなスピードで終わらせる。
捗る、というのは嘘ではない。本当でもないけれど。
鈴屋さんが私の元を訪れたあの日から、彼に会うこともなかったしお礼をすることも出来ないままでいる。
今までのようにお菓子を渡しに行くことも無かったし、書類が必要になっても手の空いた人にお願いしたりと自分からも関わりを絶っていた。
会いたいけど会いたくない。「ありがとうございました」って笑ってお礼を言いたいけど、今の私には出来ない。彼を見ただけで、好きが溢れてしまう。
そのやり場のない思いを書類整理という仕事にぶつけていただけであって、捗っている訳では無いのだ。なにかしていないと落ち着かない。
「なあ、お茶を入れてくれないか？ 今手が離せなくて」
「ええ、いいですよ。少し待っていてください」
「悪いな」
上司に頼まれたことを断るわけには行かない。さっと席を立って、急いで給湯室へ向かう。ついでだし自分の分も用意しよう。
そう遠くない目的地で一息ついて、二人分のお茶を用意する。流石に毎日毎日書類整理は疲れる。でも仕事以外にすることが無い。お菓子を作っても作りすぎてしまうし、他にこれといって趣味はない。
「おや、黒崎さんではありませんか」
あー、と項垂れていた時、隣から聞きなれた声が聞こえる。
「あ、阿原さん……」
声の主は私を悩ませているひとのパートナーだった。彼も一人分のコップを持っている。きっと私と同じく、お茶を入れに来たのだろう。
「鈴屋さんの分はいいんですか？」
「ああ、先輩は……」
こんなことを聞くのは少し失礼な気がしたけど、過保護な阿原さんのことだ、鈴屋さんの分を入れないのは少し不自然な気がした。要らないと言っても万が一とか言って用意しそうなのに。彼は口篭るような素振りで、さらりと綺麗に伸ばした黒髪の撫でる。
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葵祭 - 鈴屋くんかっこいい( ・∇・)面白かったです！！(*^▽^)/★*☆♪ (2018年7月8日 8時) (
レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
大谷しおる(プロフ) - 芋蟲さん» ありがとうございます…！！ (2018年3月20日 10時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
芋蟲(プロフ) - すごく面白かったです！完結、おめでとうございます。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: 19ce6d312e (このIDを非表示/違反報告)
大西(プロフ) - 青春ログアウトさん» コメントありがとうございます…！什造くん素敵ですよね；；文も褒めていただいて嬉しいです〜！更新頑張ります！！ (2018年1月31日 0時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
青春ログアウト(プロフ) - 鈴屋さん好きなのでこの作品見つけた時すごい嬉しかったです！話の方も素晴らしい文才で、読みやすくて尊敬です！更新頑張ってください(*^^*) 応援してます！ (2018年1月30日 20時) (レス) id: 879efebfe2 (このIDを非表示/違反報告)
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