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ばか、と一人小さく吐き捨てる。本当に馬鹿だ。
私が期待してしまうってことも、どうとも思っていないであろう部下未満の人間から好かれていることも、何も知らないから言えるんだ。
私の風邪なんかより自分を大切にしてください、と涙が出そうになりながらも訴える。彼な私なんかを気にする必要は毛頭ない。
「ぐちぐちうるさいです」
は、と顔を上げたと同時に、呼吸が奪われた。ほんの一瞬の事だったはずなのに、酷くゆっくりと時間が動いたような気がして、私にはとてもとても長い時間に思えた。
ゆっくりと近づく彼の端正な顔、伏せられた長いまつ毛、雪花石膏のように白い肌さえ全てが私の心を動かす。
鈴屋さんに触れられた箇所が熱い。柔く握られた手も、掠めた唇も。
「……こういうのは、少し照れます」
鈴屋さんの頬は少しだけ紅く染まっていて、彼も恥ずかしいんだってことが目に見える。私も紅くなっているのだろう。頬を両手で挟み込んでみると、結構熱くなっている。
これは熱だからなのか、キス、されたからなのか。確実に後者だ。
嘘、であることを祈っている。鈴屋さんはこういうことを好きな人以外にしない人だ。
勝手にそう思っているけど、それはつまり私のことが好きだって事ことになる。期待なんかじゃなくて、確信。
だけどもし鈴屋さんが好きな人以外にもキスしたりするような人なら、この行為だって頷ける。
「鈴屋さんは私のことが好きなのかもしれない」「そんなことはない」その繰り返しで、ぐるぐると渦に巻き込まれていく。
「……すずや、さん」
「熱高そうです。寝てください。僕は仕事に戻ります」
やっとの事で消えそうな声を絞り出しても、彼には届かない。手を伸ばせば触れられるのに、届いてしまうのに、彼はきっとするりと抜けていってしまう。
私に布団をかけて「じゃあまた」と言う彼を引き止められない。頭が痛いし、立てる状態じゃない。彼が言う通り大人しく寝てることしかできなかった。
がちゃんと扉の閉まる音が響いたと同時にふわりと力が抜ける。
睡魔が突然に襲ってきて、瞼が自然に閉じられる。明後日は仕事に行けたらいいなと布団を被り直して、もう一度目を閉じた。
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葵祭 - 鈴屋くんかっこいい( ・∇・)面白かったです！！(*^▽^)/★*☆♪ (2018年7月8日 8時) (
レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
大谷しおる(プロフ) - 芋蟲さん» ありがとうございます…！！ (2018年3月20日 10時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
芋蟲(プロフ) - すごく面白かったです！完結、おめでとうございます。 (2018年3月16日 20時) (レス) id: 19ce6d312e (このIDを非表示/違反報告)
大西(プロフ) - 青春ログアウトさん» コメントありがとうございます…！什造くん素敵ですよね；；文も褒めていただいて嬉しいです〜！更新頑張ります！！ (2018年1月31日 0時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
青春ログアウト(プロフ) - 鈴屋さん好きなのでこの作品見つけた時すごい嬉しかったです！話の方も素晴らしい文才で、読みやすくて尊敬です！更新頑張ってください(*^^*) 応援してます！ (2018年1月30日 20時) (レス) id: 879efebfe2 (このIDを非表示/違反報告)
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