こんなはずじゃなかった V7

196話 ページ17

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激突ーーと、思われた瞬間


ボールを浮かせてタックルを交わし、そのまま体をひねって抜き去った




ボールを足元に収め、、静止する


シーンと静まりかえるフィールド





ゆっくりと顔を上げると


そこには、光がいた





『…光！！』






数ヶ月前、初めて人格が変わる瞬間を見た時から、一星充について個人的に調べていた


財団からの話では、事故にあい 父親は他界。


兄は助かったものの、弟の光は手術をしないと助からない体になってしまった


と、言うものだったが




実際は、父親･兄 充が他界し、2人を同時に失った光は 辛い境遇を乗り越えるために 強く逞しかった兄になりきった


そして、努力を重ね、兄と同等のプレイ能力を身につけたのだった






フィールドに立つ光に目を向けると、すっかり吹っ切れた様な顔をしていた



『…よかった、成功したんだね……』








｢一星ぃいいい！！｣



アンドレアスが距離を詰めると、一旦相手にボールが渡る


しかし、光は冷静さを失わない



｢アンドレアス･ベボ。お前の癖はわかっている。フェイントをかける時、移動する方向の手が動く！｣



相手が右から抜くステップを踏んだと同時に、体をねじ込んでボールを奪った




｢止めてみせる！｣


｢君のスライディングは、目線でタイミングが読める｣




｢これ以上先には行かせない！｣


｢パワーはあるが、細かい動きに対応できない！｣




『…す、すごい……』




素晴らしいプレイの連続で前線に出る光


充の身体能力

光の分析能力




その長所を兼ね備えたプレイヤーが

今ここに、降臨した





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