標的1456＊誰だって最初は不安 ページ7
私の言葉にザンがゆっくり目を瞠る。
驚いたって顔は珍しくて。でもそんな顔を見るとどうしてか笑みが浮かぶ。
もしかしってって思ったのはここ最近。今日の朝の内にネーヴェに確認してもらった。
本当かって顔をするザンに頷いてもまだ驚きの中みたい。
そんなザンの胸に私はコテンッと頭を寄せた。どこか壊れ物に触れるかのようにそっとザンの腕が私の背中に回される。
Ｘ「…そうか」
貴「うん。初めてだから、ちゃんと知識は入れておいた方がいいかなって。」
Ｘ「…そうだな。ネーヴェには？」
貴「もう診てもらったよ。ただ、ネーヴェも出産は初めてだからしっかり勉強するって。」
初めては誰だって不安だ。私もネーヴェも。
誰か経験や知識が豊富な人に手を借りるのもありかな。そう考える私を抱きしめたまま、ザンが強くない力を籠める。
少しだけ顔を上げてザンの顔を見れば、どこか揺れる瞳と目が合った。
貴「どうしたの？」
Ｘ「いや…」
貴「嘘。」
ザンをじっと見つめると、頭に手を置かれてまた抱きしめられる。
顔が見ない中小さなザンの声が降って来た。
Ｘ「………か…」
貴「？ 何？」
Ｘ「俺が、親になれると思うか……？」
その言葉がひどく胸に刺さりながらも、温もりに似たものをくれた。
だから私はぎゅっとザンを抱きしめ返す。
貴「私も分からない。子供全般が好きってわけじゃないから。ちゃんとなれるかなって不安があるよ。」
Ｘ「……………」
貴「でも多分、それって成長した子供が決める事なんだと思う。だから私が今言えるのは、ザンとの子供なら私は愛せるし、大切だって思えるって事だけ。」
Ｘ「……！」
家族という絆に確執を持つザンは、心のどこかで不安なのかもしれない。
分からないものを与えられるのか。
でもそれは私も分からない。血が繋がってたって子供を傷つける親だっているから。
それに表社会とは違うこの世界だ。ボスである私達の子じゃ危険は沢山ある。
貴「ザンは好きになれない？ 私との子供。」
Ｘ「んなわけあるか。」
貴「ふふっ。ありがとう。じゃあきっと大丈夫。」
そっとザンから体を離してその眼を見つめる。
さっきまでの目はもう消えて、いつもの強い目が私を見つめてくれる。
貴「それにね、私はそう思うザンはもう子供想いの父親だと思うよ。」
自分への不安は生まれて来る子供を想ってのものだと思うから。
だからきっとザンはもう‟父親”なんだ。
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桜(プロフ) - あもさん» あわわっ…！ ありがとうございます！ ザンザスにとっても救いのある夢主だったらいいなぁと思います。嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年10月5日 17時) (
レス) id: 8e0b3a4d97 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品はザンザスが大好きな私にとってとても救いのある作品で、ザンザスが幸せになれて嬉しかったです。こんな素晴らしい作品を作って下さり本当にありがとうございます！！！ (2022年10月5日 14時) (レス) id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - ヨモギさん» ありがとうございます！ 出来るだけ毎日を意識していたので大変だったでしょう？ 楽しんでいただけてとても嬉しいです！ 完結まで読んでいただき、本当にありがとうございます！ (2022年7月30日 17時) (レス) id: 8e0b3a4d97 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ(プロフ) - 完結おめでとうございます！一年に一回は確認に来て、更新頻度に驚いていた数年間でした。毎日来れていたわけではありませんが、とても楽しんで読ませていただきました！本当にお疲れ様でした！ (2022年7月28日 20時) (レス) @page23 id: 50bd13428b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 夏目さん» ありがとうございます。心の支えになっていたなんて嬉しいですっ。きっとこれからも明るい日々を送ってくれると作者も祈っています。今までありがとうございました！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 8e0b3a4d97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2020年4月14日 18時
