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「…今日早上がりする？」
「別にしないけど」
なんで、と何も悪くない松村くんを睨みつければ「だって、そんなさあ、顔してたら、ね」と多分目は腫れてるし口を不機嫌そうに曲げている私を見ての言葉だったであろうと感じ取れるように松村くんは「…ごめん」と呟いて視線を下に向ける。
「…余計なことした、よね」
俺たち何も考えてなかった、なんかあった顔してるし、と今度は松村くんまでなんだか泣きそうな顔をするのに「松村くんたちは悪くないよ、慎太郎もちなみに悪くない」と呟いて笑う。
「振り切れてない私が悪いだけ、全部」
確かに寝不足だったのはそのせいだし、なんだか疲れが溜まってたのも事実だった。慎太郎に言われたことは全部本当だったし、ここまでして何かが変わるわけでもなかったのだから自己満足にケリをつけるいい機会になったのかもしれない。
「…私向こうの荷物下ろしてくるわ」
ぼうっとしたまま松村くんにそう告げて小走りで棚の後ろに駆け込む。後ろから松村くんが何かを言っていたがぼんやりした私には何も聞こえなかった。
なんかわかってたことなのに、きついな。てかアピールって何をしたら良かったんだろう。服装を変える？した、髪型を変える？した、一緒に帰る？した、個人的にメッセージのやりとり？何年間も、してる。恋人になるプロセスのテンプレートはもうやり尽くしている。諦める時はもう、すぐそこなのかもしれない。
はあ、とため息をついて沈んだ気持ちのまま棚の上にある段ボールに手をかけてグッと力を入れる。あ、結構重いかもな、と思いながらずるずると手前に引き出して、それで、
「あ、やば」
想像以上に重かった。段ボールを手に取った瞬間体は後ろに倒れ込み、胸元に強くダンボールが当たる。痛い、まずいこのままだと背中打つ！と思って、でも背中は打たなくて。
「だ、から、さっき言ったじゃん、重いよそれって」
危ないなマジで…と焦った声をした松村くんが私を背中からダンボールもろとも抱え込んで私の手の上からがしりと握り込んで「大丈夫？怪我は」とまだ体制をうまく立て直せない私に松村くんは聞いてくれるがまだ心臓がバクバクうるさい。マジで終わるかと思った…と思いながらなんとか「大丈夫、ありがとう」と呟いて、さっき松村くんが後ろから言ってたのはこれか…と思ってダンボールを床に置いてやっとのことで松村くんから離れることができた。マジで感謝しかない。だから、気づかなかった。
「…何してんの？」
後ろに誰かがいたことも、なにも。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
