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「え?」
松村くんの袖を握ったまま声の方を間抜けに振り返れば慎太郎がペットボトルを持って私の手と松村くんの袖、そして顔を往復して「…バイト中だろ」と誤解しているのか気まずそうな顔をする慎太郎に「ほ、ほんっとに違う!」と色々なことがありすぎて落ち着かなかった私は松村くんの袖をパッと離して何も説明せずにレジに戻れば松村くんが慎太郎に「こういうことで」と細かく説明していた。何から何まで申し訳ない。穴ないかな、入りたい。
松村くんが説明をしてくれたおかげで慎太郎は「なーんだ、Aがぼーっとしてたってことね」と笑って私にちゃんとしろって、と肩を叩いてきた。ムカつくけど事実なので何も言えずに慎太郎を睨む。くそ…誰のせいだと…と思うが私のせいが9割9分を占めているのでやめよう。
「…顔怖いって、そんな睨む?」
「恥ずかしさと申し訳なさと慎太郎に飛び蹴りしたい衝動で戦ってる」
「最後のとは戦わなくていいでしょうよ」
とりあえず怪我ないならよかったよ、と松村くんが慎太郎の持っていたものをレジに通しながら「なんでコンビニ寄ってんの」と慎太郎に問いかければ「…喉乾いた?みたいな」そう思って店入ったらお前らが抱き合ってた、と語弊に語弊を重ねてきたのでグーで肩元を押せば「嘘だって」とまた笑われた。しかも喉乾いた?ってなんで疑問系なの、変なの。
「…じゃ、またくるわ」
お前らシフト被りすぎ、仲良いね〜と揶揄うように笑った慎太郎が手を振って店を出て自転車に跨るのを店の中から見送ってため息をつく。このコンビニ本当に人が来ないからあんなとこを慎太郎以外に見られなくてよかった…と思うことにしよう。全然知らない人とか同じ学校の子とかだったら終わってた。私は良くても松村くんがよくない、はちゃめちゃにモテるので。
「…今の普通にやばいよね」
でも松村くんはどうも何かがやばいと思ってるらしい。そこでハッとしたが私のこと抱き止めるとか本当はしたくなかったよな、と思い「ごめん、私なんか抱き止めるとか!クリーニング代いる!?」と言えば「何言ってんの?」意味わかんないけど、と怪訝な顔をされた。違うの?じゃあ何がやばいんだろう。
「何がやばいの?」
「…Aさんってさ、前から思ってたけど肝心なところがダメだよね」
「…なんで急に悪口言われてんの?」
「事実だよ」
慎太郎に自分からも何もないって言った方がいいよ、松村くんとはただのバイト仲間って、そう呟く松村くんの言葉の意味はわからなかった。そんなのわかってるでしょうよ、そんな当たり前のこと、なんで?
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜!ありがとうございます!少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです!たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです! (2023年2月25日 19時) (レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません!!これからの更新も楽しみにしております!^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七瀬 | 作成日時:2023年2月7日 22時