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「 ありがとう、A 」
「 ごめん。私の力じゃこれくらいしか 」
「 すごく、楽。ありがとう 」
戦闘においては成長を感じられたが、やはり私は回復においてはからっきしらしい。バーバラに治療してもらった時を思い出して自己流で水元素を付着させてみたけれど、止血で精一杯だった。
レザーは器用に片手で包帯を巻いて、キュッと結び目を咥えて引っ張った。彼の周りには心配そうに狼が擦り寄っている。
「 前にも、あった。腐食が狙い 」
「 腐食。そういえば蛍たちから聞いた冒険譚の中にも似たような話があった。風魔龍はそれが原因でモンドを襲うように仕向けられたんだ 」
私たちがアビスの魔術師と戦闘したあの遺跡のような場所には、奔狼領を見守る崇高な魂が眠っていると聞いたことがある。もしかしたらアビスの魔術師は次に王狼に目をつけたのかもしれない。
私の友達をこんな危険な目に遭わせるなんて許せない。それに家族同然の狼たちにも怪我を負わせた。こんなにも怒りを覚えるなんて、私は本当に随分と感情的になったものだ。
「 大丈夫。次は、勝てる。オレ、強い 」
「 うん。…けど何かあったらいつでも頼って。レザーは私の友達。初めての友達だから 」
「 オレも。A、オレのルピカ。Aを守る。どこにでも行く 」
口下手なレザーが私のことを大切に思っていることはよく伝わった。奔狼領を離れた身ではあるけど、彼はまだ私のことをルピカだと、家族だと呼んでくれる。それが嬉しくて仕方がなかった。
「 どこにでも？ ふふっ、スメールでも？ 本で読んだ。遠いところにある知恵の国らしい 」
「 スメール？ …分からない。分からないけど、行く。A、守る 」
「 あははっ。ありがとう、レザー 」
あ、今、自然に笑えた。やっぱり一番 付き合いの長いレザー相手だと気を許しているところがあるのかもしれない。
「 A、今、どこにいる 」
「 ん？ ディルックのところでメイドをしているの 」
「 ディルック？ ……赤い、黒い。大丈夫か？ 」
「 確かに赤くて黒い。けど優しくて素敵な人だ。私なら大丈夫だよ 」
私がそう言うとレザーは安心したのかこくりと頷いてその場に丸くなる。集まってきた狼たちが彼を囲むように眠り始めたので、私もそろそろ屋敷に戻ることにした。
また会いに来るよ、レザー。
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杏仁豆腐のスプーンになりたい - 続きすんごい気になる……更新頑張ってください…！ (4月29日 1時) (
レス) @page49 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐のスプーンになりたい - 流石に可愛すぎる (4月29日 0時) (レス) @page7 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
