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「 すまない。今日は少し冷静じゃないみたいだ 」
「 きっと疲れているんです。早く戻って休みましょう 」
「 待って。僕の頼みを一つ聞いてくれないか 」
紅の瞳はあちらこちらに視線を彷徨わせ、最後に私のことを真っ直ぐに射抜いた。思わずピンと背筋が伸びる。
「 その…。僕にも、ウェンティと同じように話してほしい 」
「 しかしディルックは雇い主で 」
「 君とは雇い主とメイドの関係の枠に収まりたくないんだ 」
それはつまり私にとってのウェンティのようになりたいということだろうか。要するに友達。
主従関係であるがためにそびえ立っていた壁をディルックは遠慮なしにぶち壊してきた。けれど否定する理由もないので、私はこくりと頷く。
「 ディルックは私と友達になりたいってことだ 」
「 ……そんなところかな 」
「 もちろん大歓迎。今日からディルックは友達 」
上手く笑えているかは分からないが、長期休暇を取っていた表情筋に鞭打って軽く口の端を持ち上げてみせた。それに対してディルックは片眉をピクリと動かし、目を伏せて長い息を吐く。
「 帰ろうか、A。そろそろアデリンたちが心配し始める頃だ 」
「 うん。もう心配はかけたくない 」
「 夜の魔物には気をつけて。僕から離れたらダメだよ 」
「 大丈夫、私はもう戦えるから気にしなくていい。ヒルチャールだってやっつけられる 」
「 ダメだ。いいから僕の傍を離れないで 」
どうやら彼の中で私はまだひ弱な女だと思われているらしい。確かに昼間は水スライム相手に苦戦してしまったが、同じ失敗は繰り返したりしないのに。
ディルックの武器は両手剣だった。道中 遭遇した魔物は朝日を見ることも叶わず、烈焔を前に灰になっていく。私は彼の邪魔をしないように隅の方で剣を振るっていたが、戦闘を重ねる毎にその必要性がないと気づく。テイワットの星空を見上げて、明日は何をしようかなと考えていれば戦闘は終わっているのだから。
「 ディルック、やっぱり私も… 」
「 君はそこで星の数を数えているだけでいいんだよ 」
結局、屋敷につくまでに遭遇した魔物はディルックが一人で一掃してしまった。今更かもしれないが彼は少し過保護だ。足の怪我もとっくに治っているし、神の目だって持っているのに。
安心してもらうためにももっと強くなろう。
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杏仁豆腐のスプーンになりたい - 続きすんごい気になる……更新頑張ってください…！ (4月29日 1時) (
レス) @page49 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐のスプーンになりたい - 流石に可愛すぎる (4月29日 0時) (レス) @page7 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
