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寮へ向かうミレイたちを見送り、Aとスザクは政庁に収容されているヘッドトレーラーへと向かった。
途中、どんよりとした空からはポツポツと雨が降り出し、二人は雨宿りのために近くの店の軒下に入る。
「 なんだか止みそうにないね 」
「 そうだね…。寒くないかい？ 」
「 うん、大丈夫 」
とはいえ二人とも学生服を身につけているので、雨に濡れてしまえばあっという間に体温を奪われてしまうだろう。
雨足が弱まるまではここにいた方が賢明な判断だ。
「 ……ねぇA 」
「 ん？ 」
「 必ず僕たちで捕まえよう、ゼロを 」
「 うん。もちろんそのつもりだよ 」
二人でゼロを捕まえるという話は以前もしたが、今回の件でより一層その思いが強まった。
誰よりも父親を失くした悲しみが分かるAだからこそ、胸の内に秘める憎悪を隠すことに精一杯だった。
「 私もね、お父さん死んじゃってるんだ 」
「 えっ 」
Aが自分のことを話すのは初めてだった。
突然のことにスザクは驚き、雨の音も何も聞こえなくなる錯覚に襲われた。
「 ブリタニアが侵攻してきた時にお父さんを殺された。シンジュク事変の時には、育ての親が……。もう一人のお父さんを殺された 」
「 シンジュク事変って、そんな、嘘だろう。 この間の、事じゃないか… 」
彼女の苦しみや辛さも知らずに特派へと引き込み、そして世界を変えようと誓い、ここまでやってきたというのか。
なのに弱音の一つも吐かずに隣で戦うことを決めたA。
そんな彼女の事を今まで知ろうともしなかった自分に嫌気がさし、スザクはAと上手く目を合わせることが出来ずにいた。
「 あ！ 違うの。別にスザクを責めるつもりはないよ。スザクがいてくれたから、あの時 私とルルーシュは生き延びることが出来たんだから 」
「 だけど、君はまたブリタニアに父親を……！ そうとも知らずに僕は、僕は…… 」
「 や、やだなぁ。なんでそんなに辛そうな顔するの？ スザクと一緒にこの世界を変えたいと思ったのは私の意思だよ 」
自分だって泣きたい時もあったはずなのに、今は友達のシャーリーのことに胸を痛めている。
誰かのために何かをしようと思うAを守ろうと、そう心に決めたのに、自分は何も知らなかった。
Aを守りたい。
そう思ったのは、死を望む自分への贖罪のつもりだったか？
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
