▼ シャーリー と 銃口 ページ6
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四十五という若さで亡くなったシャーリーの父親は、皆に慕われる人望の厚い人物だった。
それはこの葬儀に参列する人々の涙を見れば分かる。
「 A 」
離れた位置で見守る生徒会の面々は、今にも雨の降り出しそうな空のようにどんよりとした表情だった。
小さく名前を呼ばれて隣を見ると、スザクが心配そうにこちらを見下ろしている。
「 ……大丈夫かい 」
「 私なんかより、シャーリーの方が心配。だって、あの子 」
葬儀が始まる少し前、シャーリーは不細工な笑顔を張りつけ、「 ごめんね！ 皆 忙しいのに来てくれてありがとう 」と、そう言った。
誰よりも泣きたいのはシャーリーのはずなのに、自分が涙を流すわけにはいかない。
Aは唇を噛み締め、嗚咽が漏れそうになるのを必死に堪えた。
「 いや……やめて！！ もう埋めないであげて！ 苦しませないで！！ 」
悲痛な叫びはシャーリーの母親のものだった。
ナリタでの土砂崩れに巻き込まれ、苦しみながら亡くなった夫のことを想い泣き崩れる背に、シャーリーがそっと手を添える。
『 逃げ、なさい……A 』
父を失った時の情景がフラッシュバックして、Aは無意識にスザクの制服の裾を掴んでいた。
カタカタと身体が震える。
それから七年が経ち、ジンまでも失くして……！
「 ！ 」
裾を掴んでいた手は、まるで大丈夫だよとでも言うように両手で包まれていた。
少し落ち着いたAは、「 ごめん 」と小さく呟いてそっと手を離す。
「 皆 」
やがて葬儀は終わり、シャーリーは悲しそうに笑いながらこちらに近づいてきた。
誰しもが何を話せば分からない中、最初に口を開いたのはカレンだった。
「 その……ごめんなさい、シャーリー 」
「 やだな、なんで謝るの？ 」
カレンが謝る必要なんてない。
しかし黒の騎士団の一員として紅蓮弍式に乗り込み、水蒸気爆発を起こしたのは他の誰でもないカレン自身だ。
ホテルジャックの時に一度 成功したくらいで正義の味方だなんだと舞い上がって、先のことを見据えていなかった。
自分が殺したも同然だ……。
カレンは言葉を失い、俯く。
「 俺も、ごめん！ 」
何も言えずにいるカレンの前に出たのはリヴァルだ。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
