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「 とは言ったけどどうしようか…… 」
顎に手を当ててスザクは辺りを観察するが、特にこれといってめぼしいものはない。
「 スザク、あそこの支柱からコードを切れるかな。爆弾の正面から私がタイミングを伝える 」
「 えっ 」
「 あぁ、もちろん逆でもいいよ 」
ナナリーをこんな目に合わせた犯人を余程 許せないのだろう。
普段の天真爛漫な様子とは程遠く、冷たい声は淡々と紡がれており、細められた瞳は鋭い。
彼女の言う支柱というのは、水道管を支えている大きな柱のことであった。
スザクの身体能力であれば水道管の上に上ることは容易いことであるし、Aの集中があればタイミングを見計ることも出来るだろう。
「 けど、そんな簡単には、……いや。やろう 」
やれるかどうかというのは問題ではない。
やるしかないのだ。
スザクは助走をつけていとも簡単に支柱を駆け上がり、あっという間に水道管の上へと駆け上がった。
ナナリーは不安そうに眉を下げているが、Aは安心させるように「 大丈夫だよ 」と声をかける。
「 A、いつでもいけるよ 」
「 うん 」
チャンスは一度きりだ。
失敗してしまえば、外部からの力を加えられた爆弾は爆発し、この学園は木っ端微塵になってしまう。
Aは爆弾の真正面に立ち、大きく深呼吸をした。
「 いち、に、いち、に……。っ今だよスザク！！ 」
Aの言葉にスザクはナイフを片手にその場から飛び上がったが、タイミングがほんの僅かに遅れた。
スザク自身それは分かっていたが、空中に投げ出された身を停止させる手段はないし、もうどうにもならない。
「 スザク！！ 私を信じて！！ 」
「 ！ 」
Aが大きく声を上げ、そして左目に不死鳥が宿る。
いつかのナリタでは感情が荒ぶったために発現したギアスが、今回はAの必死の叫びに呼ばれて羽ばたいた。
切り取られた空間が僅かに移動し、スザクを本来あるべき場所へと移動させた。
「 よし！！ 切れた！ 」
数字にして数ミリ程度の移動だったので、恐らくスザク本人は気がついていないが、Aは瞳に違和感を覚えていた。
自分が、今 何かしたのか……？
「 成功だよ！ A、君のおかげだ！！ 」
「 え。そ、そうだね。とにかくはやくナナリーを！ 」
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
