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「 くそ、一体 誰なんだ、ナナリーを攫ったのは。まさかブリタニアの… 」
そこまで話してスザクはハッとなり口を抑えた。
Aは信頼しているし、彼女が言いふらすのも思えないが、ルルーシュたちが皇族であることはなるべく話さない方がいい。
しかしそれだけで何が言いたいかを理解したルルーシュは首を振り、自分たちの出自への関わりは否定した。
「 女を独り占めしたいってだけの、ただのガキだ 」
「 脅されているのか？ 」
「 ……そうだ。だから軍や警察には話せないんだ 」
取調べを受けるとそれこそルルーシュらの出自がバレてしまう可能性があるため一人で解決する他ない。
Aは二人の後ろを歩きながら、ぼんやりと大体のことは理解したが、冷静にはなれそうになかった。
溢れ出る怒りを必死に抑え、爪が食い込むほどに拳を握りしめる。
「 仕方ないな。僕たちだけで何とかするしかない。何か手がかりになる物はないのかい？ 」
「 写真と俺を見張れるぐらい近くにいるって事しか… 」
ナナリーを攫ったマオのギアスの有効範囲は半径500メートル以内のため、学園の周辺にいることは間違いない。
だがこの広い学園内で心当たりのあるところは虱潰しに探したし、これ以上 一体どこを探せばいい。
ルルーシュは耳元の携帯に手を添えるが、マオからの連絡はぱったりと途絶えてしまっている。
「 音だよ 」
すると、ここまでずっと黙っていたAが呟いた。
「 その写真からは何も分からないでしょ。だったら、ルルーシュが犯人から得られる手がかりは、音しかない 」
「 音…。そういえば、水が流れているような音が！ 」
このアッシュフォード学園内で水が流れているような場所と言えば、思い当たる箇所が一つだけある。
循環システムを利用している地下水道。
あそこならば人の目に付くこともないし、ギアスでルルーシュの思考を読み取ることも可能だ。
「 地下へはここから行ける 」
三人はすぐに地下へのエレベーターに乗り込んだ。
チン、と無機質な音を立ててエレベーターが開いたが、すぐに外へ足を踏み出すことはしない。
「 スザク 」
「 ありがとう 」
エレベーターの隅にいるAは、胸元から取り出した手鏡を隣のスザクに手渡した。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
