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「 あんた、たった一度や二度 戦場を経験したくらいで、何か変わるとでも思ってんの？ 」
「 ふぐ 」
「 壁にぶち当たったら、正面突破以外の選択肢ないだろ 」
「 ふぐ 」
「 なんとか言ったらどうなんだよ 」
そう言いながら頬を掴む手にどんどんと力が込められていき、それと同時にAの顔は目も当てられない不細工なものになっていく。
口から漏れる意味不明な言葉にレオはとうとう吹き出してしまい、「 悪かったよ 」と言って手を離した。
「 ぷはっ。何するの！？ レオくんの言葉すっごく刺さったのに、これで全部 台無しだからね！？ 」
「 あぁ、それだよ。やっぱりそれくらいやかましい方が、あんたらしくていいね 」
「 ほんっとレオくんって私の扱いひどい！ 」
レオは待合室をふらふらと歩き回り、先程のAのように興味もないの医療ポスターをじっと見ている。
居心地の悪くない沈黙が続いていたが、やがてレオはAに背を向けたまま話しかけた。
「 なあ、昨日ってさ 」
「 ん〜？ 」
広い待合室に誰もいないのをいいことに、Aは真ん中に位置する大きなスツールにだらりと背中から倒れ込んだ。
病院の独特な匂いはするが、そこまで嫌いではない。
「 ルルーシュさん、生徒会に来てた？ 」
「 え〜？ 来てないよ。遊び盛りのルルーシュは休みがちって、知ってるでしょ？ 」
レオの口からルルーシュの名前が出るとは意外だ。
それこそ仕事の都合上というだけで生徒会に属してはいるが、レオ自身もあまり活動には参加していなかった。
特派の仲間であるAとスザクはともかく、それ以外のメンバーとはまともに話したこともないのではないだろうか。
「 レオくん、ルルーシュと大して話したことないでしょ？ 何かあったの？ 」
「 …いや。来てないんだなって思っただけだよ 」
「 それを言うならレオくんもでしょ！ 」
Aは上体を起こして大袈裟に声を荒らげたが、レオは背中を向けたまま返事をした。
「 仕方ないだろ。トウキョウ湾でかなり兵力を削がれたから人手不足なんだ。昨日はナリタの後始末に行ってたんだよ 」
「 ナリタに？ それはお疲れ様。お姉さんがよしよししてあげるよ〜 」
「 あんたのことを年上だと思ったことはない 」
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
