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「 A 」
学校が終わり、わざわざ他学年のクラスにやってきてまでAを呼んだのはスザクだ。
猫事件があったとはいえ、まだ日本人であるAとスザクのことを良く思わない生徒は多く、一瞬 教室が静まり返る。
「 スザク、どうしたの？ 」
しかしAは特に気にすることなく鞄を肩に掛け、教室の入口で居心地が悪そうにしているスザクに近づく。
皆が注目する中、大きな破裂音がしたことによってクラスメイトたちはそちらに意識を向けた。
それは大きく手を鳴らしたミレイだ。
「 はーい、みんな！ 授業 終わったんだから、部活なりなんなり、速やかに向かうこと！ 時間は有限よ〜？ 」
その一言で教室は再びガヤガヤと騒がしくなり、部活動に向かう生徒が何人かスザクの隣を通り過ぎて外へ出ていく。
やはりミレイは気遣いの出来る人間だ。
「 さっすがミレイ。…それで、何か私に用だった？ あ、昨日はナナリーと寝たから！ 」
「 …逆にルルーシュと寝る可能性があったのかい 」
「 い、一応 報告をと思いまして…… 」
聞かれる前に話してしまおうと思ったのだが、どうやら墓穴を掘ってしまったらしく、ピクリと眉が釣り上がる。
細められた瞳にギロリと睨まれ、Aは「 あはは 」と乾いた笑いを零して視線を逸らした。
「 …はぁ。歩きながら話すよ。行こう 」
「 あ、うん！ 」
スザクと二人、並んで校舎を出る。
もしかしたら怒らせてしまったかもしれないと不安になったが、少し歩くとスザクはいつも通り話しかけてきた。
「 君は昨日 居なかったから知らないだろうけど、今日はメディカルチェックに行かなきゃいけないんだ 」
「 メディカルチェック？ 」
「 簡単に言うと健康診断だよ。ナイトメアのパイロットには義務付けられているんだって 」
今日はこのまま軍が有する医療施設に向かい、そこでセシルと落ち合うことになっているらしい。
学園から大した距離ではないので、二人はトウキョウ租界を並んで歩く。
「 病気とか見つかったらどうしよう… 」
「 大丈夫だよ。君、風邪も引かなそうだし 」
「 ちょっと、それどういう意味 」
「 あはは、何でもないよ 」
遠回しに馬鹿だと言われ、Aはむっとした表情でスザクを見上げたが、額を軽く小突かれてしまった。
年上の威厳は、これからも現れそうにない。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
