8 ページ27
───
──
.
相手の思考を読み取るという厄介なギアスを持つ男── マオに唆され、シャーリーは銃口をゼロであるルルーシュに向けた。
正体を知られた以上は始末するしかないのだが、ルルーシュは手を下すことができず、自分に関する全ての記憶を消すというギアスをかけた。
もう、彼女と友達には戻れない。
苦渋の決断ではあったが、これで良かったのだ。
「 はあ…… 」
いつも通りC.C.は裏手からクラブハウス内に入り、ルルーシュは正面玄関のドアノブに手をかける。
電車で移動したとはいえ、ナリタを往復したので辺りはすっかり真っ暗だ。
ナナリーも咲世子も、もう寝ている時間だろう。
「 おかえり、夜遊びは楽しかったかな？ 」
「 ……は？ 」
灯りがついていることを不審に思わないほどに疲労が溜まっていたらしい。
偉そうに腰に手を当ててルルーシュを出迎えたのは、咲世子が用意したであろう寝巻きに身を包んだAであった。
「 お前、なんでここに 」
「 ルルーシュがナナリーを一人ぼっちにするからでしょ！ 大きな仕事もないし、泊まってくことにしたの 」
「 ……聞いてないぞ 」
「 言ってないもん 」
唇を尖らせるAに嫌味を言ってやる気力もない。
顔色の悪いルルーシュの様子に気がついたAは、「 どうかした？ 」と首を傾げる。
「 ナナリーならもう寝てるよ。あ、私はこっそり抜け出してきたの 」
「 そう、か 」
「 ……やっぱりルルーシュ、なんか変。何かあったの？ 」
今は、一人になりたい気分だった。
ルルーシュは階段を上がり、部屋の扉を開くと力なく椅子に腰を下ろした。
「 コーヒーでも飲む？ もう咲世子さんも寝てるし、私が入れたコーヒーになっちゃうけど 」
「 ……あぁ、頼むよ 」
流石のAも悪態をつく気にもならないらしく、コーヒーを入れるためにキッチンへと消えていった。
やがて湯気の立つコーヒーカップをルルーシュの正面に置き、自分も紅茶をもって隣に座る。
「 その、元気 出して？ いつものルルーシュじゃないと、なんか調子 狂っちゃう 」
「 あぁ…。今日だけだ 」
「 私に出来ることがあれば何でも言ってね。ほら、これでもお姉さんだし！ 」
いつもなら「 ちんちくりんのくせに 」などと返ってきそうなものだが、ルルーシュは俯いたまま。
.
──
────
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
