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「 それで、その時お兄様が…… 」
楽しそうに話すナナリーのことを見つめながら、「 うんうん 」と相槌を打つ。
Aが泊まるという話を聞いた時、ナナリーはぱあっと花が咲いたかのように表情を明るくして喜んだ。
大人びてみえるが、結局は中学生の女の子。
唯一の肉親である兄が支えである彼女にとって、咲世子がいるとはいえ毎日を一人で過ごすことは辛いものであった。
「 全くもう。こんなに可愛い妹を置いて、ルルーシュは何やってるんだか 」
ぼそりと呟いたつもりだったが、誰よりも聴覚の優れているナナリーには届いていたらしい。
楽しそうにルルーシュの話をしていたというのに、顔を曇らせて俯いてしまった。
「 あっ！ ご、ごごごごめんナナリー！ 私 」
「 謝らないでください。お兄様はお忙しい方ですから仕方がありません。それに、もしかしたら… 」
パッと顔を上げたナナリーは、パンッと手を叩いて「 彼女が出来たのかもしれません 」と一言。
「 えぇ？ 聞いたことないけど、どうかなあ？ 」
「 分からないですけど、そうだとすると少し寂しいですね。私にはお兄様しかいませんから 」
「 そんなことない！ 私もいるよ、ナナリー 」
膝の上で揃えられた手にそっと自身の手を重ねると、驚かせたのかピクリと震えたのが分かった。
しかしすぐに嬉しそうに「 ありがとうございます 」と笑う。
「 Aさん。その、ご迷惑でなければなんですけど…。今日は私と一緒に寝てくださいませんか？ 」
「 え 」
「 す、すみません！ やっぱり 」
「 ぜんっぜんいいよ！ 寝る！ 寝る寝る！ 喜んで〜！ 」
勢いよく首元に抱きついてきたAを、ナナリーは暗闇の中にも関わらずしっかりと受け止めた。
想像していたよりも小柄な身体に驚き、咄嗟に抱きしめる手に力を込める。
「 今日はずっと一緒だよ。いっぱいお喋りしようね 」
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
