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「 突然どうしたの？ 」
パタンと本は閉じられ、カレンは優しげな瞳を隣で頬杖をつくAに向けた。
「 技術部も、戦ったりするのかと思って 」
「 ないない！ 私たちはまず戦場に行くことは無いよ 」
友達に平然と嘘をつくのはなかなかキツいものではあったが、事実を伝えると生徒会の皆に心配をかけてしまう。
その言葉を一度は信じたカレンだったが、それで頷くことはなく、また質問を重ねる。
「 じゃあナリタには行っていないんですか？ それに昨日のトウキョウ湾で起きた爆発も 」
「 う、うん。私は直接的には関わってないよ。気になる？ 」
やたらと追求してくるカレンに、ボロを出さないように必死にいつも通りを取り繕う。
「 なら良かったです。危険なことをしているんじゃないかと思っていたので 」
「 ……っ、カレン〜！！ 」
「 ちょ、ちょっと！ くっつかないでください！ 」
心配してもらえたことが嬉しく、Aはカレンに勢いよく抱きついた。
黒の騎士団としてブリタニアを相手に戦っているカレンは、どんな形であれ友達を手にかけることだけはしたくなかった。
心配していない、と言えば嘘になるが、結局は保身のためともいえる。
「 だって〜。カレンが私のこと心配してくれたんだよ？ 嬉しいじゃんか！ 」
「 分かりましたから離れてください！ 」
だが実際のところは、黒の騎士団とブリタニア軍として、ナイトメア戦を繰り広げていた。
お互いがお互いを本気で殺そうとしていたというのに、その事実も知らずにこうして笑いあっている。
自分が望む世界のために排除しようとしていた存在が、ずっと戦い続けてきた相手が、大切な友だと気づく時は来るのだろうか。
そしてその時が来たら、二人は選択を迫られるはずだ。
「 カレンこそ身体は大丈夫？ バカルルーシュと違って、カレンが休みがちなのは仕方ないことだけど、無理しないでね 」
「 は、はい。調子がいい日に来てるので、大丈夫です 」
「 じゃあ今日は調子いいって訳だ！ 」
「 そうですけどっ！ とりあえず…離してくださいってば！ 」
幸せそうな笑顔を浮かべるAを、愛おしそうに遠目に眺めている人物が一人。
柔らかい笑みを浮かべているのは……スザクだ。
「 おやおや……？ 」
何かを察したミレイは、口元に手を当ててくすりと笑う。
恋って、……いいなぁ。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
