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作戦開始位置についたベディヴィエール内で、Aは大きく深呼吸をして精神を統一させた。
トウキョウ湾を挟んだ反対側の部隊の中にはランスロットが同じようにその時を待っている。
「 作戦を開始せよ 」
『 アンダーウォーター、全ユニット潜行開始 』
コーネリアが声を上げると共に海兵部隊のナイトメア── ポートマンが巡航モードに切り替えて一斉に海中へと潜り込む。
大量の流体サクラダイトを積み込んだ目標はかなり離れているが、ポートマンに搭載された魚雷があれば動きを止めるだろう。
『 ダイブ、ダイブ、ダイブ 』
『 特殊制圧隊、使用火器はカテゴリーC 』
その様子をモニター越しに見つめながら、Aはようやく操縦桿に手を伸ばした。
すると部隊を率いる少佐からプライベートチャンネルが繋がり、真剣な表情で話し始める。
『 我が隊は、陸上より援護に回る。対象のタンカーを沈めぬよう気をつけろ 』
一度 瞳を閉じ、そしてゆっくりと開いた双眸には、もう迷いはなかった。
「 イエス、マイロード 」
ベディヴィエールは先行して埠頭を走り、誰よりも早く射撃ポイントへである桟橋に到達した。
自分に課された命は、海中のポートマンが魚雷を発射した時に、動揺して炙り出された残党を殲滅すること……。
『 全部隊、武器使用自由。……繰り返す。雷撃後、武器使用自由 』
通信兵の言葉の数秒後には、轟音と共に大きな水柱がトウキョウ湾に吹き出した。
『 援護射撃を開始せよ。尚、使用火器はマイクロ弾の一点射に限定する。流体サクラダイトに引火させないように気をつけろ 』
熱を加えることで強力な爆発を起こす流体サクラダイトに誤射してしまえば、片瀬の捕獲はおろか、こちらにも甚大な被害を受けることになる。
銃を構えたベディヴィエールは、迎撃のために甲板に現れた日本解放戦線の兵士に照準を合わせた。
しかし、周りのブリタニア軍の兵士たちが発砲する中、Aは中々トリガーを引くことが出来ずにいた。
なんだ、これは。
まるで虐殺じゃないか……？
『 七瀬曹長 』
「 えっ、レオ、くん 」
突如モニターに現れたレオは、真剣な声色で話す。
『 辛いかもしれないが貴方は職業軍人だ。この道を進むと決めたのならば、やらなければいけない時がある 』
「 ……うん、そうだね 」
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
