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── トウキョウ湾、埠頭。
作戦を数時間後に控えたAたちは、作戦概要の説明を受けるため、ダールトンに呼び出されていた。
「 総督はまだ、ナンバーズであるお前たちを使うことに難色を示されているが、私は使えるものは使う主義だ。例えそれが、日本の元総理の息子だろうと 」
Aは横目で隣に立つスザクの様子を伺ったが、一瞬 目を見開いただけで、何も言葉を発することは無かった。
「 目標は片瀬だ。こいつさえ抑えれば、日本解放戦線はおしまいだ。捕獲は海兵部隊が行う。お前たちは陸上から、海兵が片瀬を確保するまでの援護射撃。…及び、確保後の残党の殲滅にあたれ 」
殲滅という言葉にAは驚き声を上げることも出来なかったが、スザクは「 殲滅でありますか？ 」と問いかける。
片瀬を確保した後であれば、無理に殲滅せずとも同様に確保すればいい話だ。
「 目標以外は一人も生かしておいてはならん 」
こくりと頷くダールトンに、Aは瞳を揺らして俯く。
この世界を変えるためにここまでやってきたというのに、自分たちはその過程でついに人を手にかけなければいけないのか。
それも同じ、日本人を。
「 ブリタニアへの忠誠を示せ。枢木 スザク准尉、七瀬 A曹長。出世のチャンスだ、励めよ 」
国籍を気に留めず出世のチャンスだと励ますダールトンの姿は、Aにとっては尊敬すべき生粋の軍人に見えた。
しかし、だからといって……。
何も返すことの出来ないAを一瞥してから、スザクは「 イエス、マイロード 」と納得していない表情を見せた。
「 ごめん、スザク…… 」
「 ううん、いいんだ。君の考えていることと僕の考えていることは、多分……同じだから 」
そこへ隣で話を聞いていたロイドがこちらに近寄ってきて、怪しい笑みを浮かべて口を開いた。
「 踏み絵かな。どうする？ 試されてるよ、君たち 」
ブリタニアに忠誠を誓わない者は必要ない。
ロイドの言葉通りふるいにかけられているAたちは、悔しそうに唇を噛み締めることしかできなかった。
「 くっ…… 」
スザクはランスロットの起動キーを強く握りしめた。
こんなところで立ち止まってはいけない。
先の未来のために必要な事だというならば……今 立ちはだかる敵を斬り捨てる覚悟も必要だ。
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作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
