7 ページ12
────
──
.
作戦前日。
久しぶりの休日を貰ったAは、特にすることも無くヘッドトレーラー内の自室で天井を見上げていた。
丁度 学校の休日とも重なり、外へ出かける用事もない。
「 スザクは何してるんだろ 」
作戦前でピリついているかもしれないが、かといってこのままでは今日一日をどう過ごすか決まらない。
悩んだ末に部屋を出て政庁を練り歩くことにした。
「 ランニングに行ってたら見つけられないな…… 」
ランニングの範囲がトウキョウ租界全域であるため、その場合はもう会うことは不可能だと考えていいだろう。
とりあえず外へ出てみるかと廊下を歩いていると、前方から思いもよらない人物が歩いてきた。
「 ！ 」
咄嗟にその場で頭を下げ、右の拳を左胸に当ててその人物が前を通り過ぎるのを待つ。
しかし視界で靴がピタリと動きを止めたのを見て、Aはゆっくりと顔を上げた。
「 七瀬か 」
「 は、はい。コーネリア様 」
Aよりも遥かに高い位置からこちらを見下ろしているのは、第2皇女であるコーネリアであった。
こうして面と向かって話すのは、純血派の内ゲバの際にユーフェミアを政庁に送り届けて以来だ。
彼女の両隣には親衛隊隊長であり、騎士であるギルバート・G・P・ギルフォード、そして腹心の部下であるアンドレアス・ダールトンが控えている。
「 ……お前には、伝えておきたいことがあった 」
一体 何を言われるのか。
声が震えるのを必死に抑えて「 はい 」と返した。
「 カワグチ湖では、先走るユーフェミア副総督の傍にいたと聞く。シンジュクでの内ゲバについてもだが……。このエリアを率いる者として副総督の独断を詫びよう 」
「 そんな！ 私は当然のことをしたまでです 」
「 …度々 お前たちの名前をユフィから聞いているよ。良き友人だと 」
ユフィと口にした瞬間、コーネリアはエリア11を統べる総督としてではなく、妹を思う優しい姉の目になった。
「 ユフィの傍にいてくれたこと、感謝する 」
「 コーネリア様、私などにそのようなお言葉！ 私は友として、軍人としてそうするべきだと！ 」
あたふたと慌てるAに、ふっと笑ったのはギルフォードだ。
.
──
────
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りり | 作成日時：2022年9月27日 12時
