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撃たれたというのに自分に覆い被さる年若い少女に、兵は動揺して上手く動けずにいた。

もみ合っている間に手のひらに感じた生暖かい血の感触に、兵はついに硬直してしまう。





「 逃げてぇええ!! 早く!! 」





今にもこちらに駆け寄ろうとしていたルルーシュたちに声を荒らげ、Aは組み敷いている兵士の手から銃を奪い取る。

力が込められていなかったのか、呆気なく奪うことが出来たそれは、ズシリと重かった。





「 はあ、あ、あ…… 」





この引き金を引いてしまえば、この兵士は死ぬ。
お父さんたちを殺した、憎いブリタニア人を殺せる!!





「 う゛……、うっ 」





しかしAにはそれが出来なかった。

銃を思い切り遠くへ放り投げると、出血の止まらない脇腹を抑えてふらりと立ち上がった。

上半身を起こした兵士はふらふらと歩くAに危害をくわえることはせず、ただ手袋越しにも感じる血の感触に自分がしてしまったことを実感していた。

振り向くと、そこには先程の学生の姿は既になかった。





「 無意味な、戦い、なんて…。終わらせ、ないと。罪のない人が、ただ毎日を必死に生きてきた人が、死んでいる… 」





これ以上 ジンとの思い出が詰まった大好きなこの街を踏み荒して欲しくない。

ただそれだけの思いだけが瀕死のAを動かしていた。





「 殺すつもりなら、心臓を、撃ちなさいよね…。弱虫め 」




Aの身体はどこかへ誘われるかのように一歩ずつ外へと進んでいく。

破壊された壁から外に出ると、人型の兵器……ナイトメアが倒れていた。

デヴァイサーは既に脱出したようだが、それは左腕が切り落とされているだけでまだ十分 稼働が可能だ。

随分と臆病なデヴァイサーが搭乗していたのだろうそれに、迷いもなくAは乗り込む。





「 キーは挿しっぱなし。起動したままだからナンバーを入力する必要もない。すぐ動かせる 」





モニターを操作してマニュアルをものの数秒で頭に叩き込んだAは、操縦桿を両手でぐっと握り、ペダルを踏み込んだ。

IFFを見るにこれはブリタニア軍のナイトメアのようだ。





「 ブリタニア軍も、テロリストも、倒してやる。……もう、戦いは、終わりだ 」





隻腕のナイトメアは立ち上がると、 ファクトスフィアで敵の位置を確認し、戦場へと走り出す。





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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時

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