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「 や、やめてください! 」
相手はブリタニアの兵士だ、銃を持っていてもおかしくはないというのに、Aはその背中に向かって思い切り飛びついた。
「 お前、何してるんだ! 」
「 今のうちに、に、逃げてくださ…… 」
しかしただの少女がブリタニアの兵士相手に勝てるはずもなく、首に回していた手を取られてそのまま放り投げられてしまう。
背中から叩きつけられて息が詰まり、身動きのとれないAの前に学生が両手を広げて立ちはだかった。
「 何なんだよ、お前らはっ! 」
「 ルルーシュ……? 」
学生が叫ぶと、兵士はピタリと動きを止めた。
ルルーシュと呼ばれた学生はピクリと肩を震わせたが、兵士のヘルメットの下から現れた懐かしい友の姿に言葉を失う。
「 僕だよ。……スザクだ 」
「 !! 」
短い間だったが妹と共に過ごしたスザクとの日々を思い出すも、その彼が軍に所属しているという事実に拳を握る。
彼らが顔見知りだということは危害を加えられることはないだろう、Aは安堵の息を漏らした。
「 ということは君は一般人? 本当にごめん、怪我はない? 」
「 はい、大丈夫です 」
スザクの手を取り立ち上がったAはまだ恐怖心を拭いきれず、軽く頭を下げるとすぐにルルーシュの背に隠れた。
「 お前、ブリタニアの軍人になったのか 」
「 ……うん。君は? まさかこの毒ガスは、君が 」
「 この中身は毒ガスなのか? 俺が知るわけないだろう! 」
すると、機械が僅かに開き、目が眩むほどの光が射し込む!
スザクの話が本当で中身が毒ガスなのだとしたら、ここで自分は死んでしまうのだろうか。
指ひとつ動かすことも出来ず固まっていると、スザクはルルーシュに自身がつけていたガスマスクを押し付けた。
その後ろにいたAを力強く抱き寄せると、そのまま三人一緒に床に倒れ込む。
「 やだ……死にたくない…… 」
Aは恐怖から冷たい防護服に額を押し付けた。
死に怯える声にスザクは栗色の髪の毛を優しく撫でつけながら、機械の中から現れた少女に目をやる。
「 毒ガスじゃ……ない……? 」
両手を拘束され、口元までも布で覆われているその少女は一度こちらに視線をやったかと思うと、意識を失いこちらに倒れ込む。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時