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ナナリーに是非と言われ、Aとスザクは夕食の席につくことになった。
咲世子の用意した料理はどれも美味しく、話に花を咲かせる三人をよそにスープを口に運ぶ手が止まらない。
「 スザクさんとAさん、今日は泊まっていけるんでしょう? 」
「 二人はこの学校の生徒なんだ。いつでも会えるよ 」
「 本当に? 」
ルルーシュの言葉にナナリーは嬉しそうに笑う。
「 僕たちは軍隊の仕事があるから、毎日は無理だけどね 」
「 軍隊…… 」
ボソリと呟いたかと思うと、ナナリーは俯いた顔を上げてAの方を向く。
「 Aさんも、軍隊にいるんですか? 」
まさか自分に話が振られるとも思っておらず、ちょうどかぶりついていたパンを慌てて飲み込んだ。
喉に詰まりかけてトントンと胸を叩くAの口元についたパンくずを拭きながら、その問いかけにはスザクが代わりに答える。
「 大丈夫。技術部に配置換えしてもらったから、そんなに危なくないよ。Aも一緒なんだ 」
両手を顔の前で合わせて何度も頭を下げる。
……この有様では歳上だと威張れない。
ナナリーに見られることはなくてよかった。
「 そうか、技術部か。安心したよ。Aみたいな子供が軍にいるなんて、心配だからな 」
「 ちょっとルルーシュ! 歳上って言ってるでしょ! 」
「 はいはい。そういうことは口元にパンくずをつけずに食事できるようになってから言うんだな 」
ひぇ、と情けない声を上げて再び椅子に座って顔を覆う。
折角ナナリーにはバレていなかったというのに呆気なくばらされ、スザクには世話を焼かれ、もう散々である。
「 ルルーシュ、あんまりからかったら可哀想じゃないか 」
「 はは、そうだな。悪かったよ、Aお姉さん」
ルルーシュは空になったティーポットを片手に、紅茶を入れ直すために席を立つ。
「 手伝うよ 」とスザクも同じように席を立ったが、ルルーシュはそれをやんわりと断りキッチンへと向かった。
「 ……部屋にいろって言っただろ 」
キッチンでルルーシュを待っていたのは、彼の−−−ゼロの共犯者であるC.C.だった。
その存在が毒ガスだと思われていた彼女は、ルルーシュに絶対遵守のギアスを与えた張本人である。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時