▼ 奪われた 仮面 ページ39
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「 ねぇA 」
純血派の内ゲバから数日。
大学の敷地内には、少しでも力をつけたいというAの要望のもとスザクと訓練をする二人の姿があった。
鋭い蹴りを左腕で受け止めながら、Aは脇腹 目掛けて右足の蹴りを叩き込む。
「 提案が……っ、あるんだけど、さ! 」
「 わぁぁあ! 」
しかし攻撃は読まれており、足を掴まれたAはそのまま容赦なく投げ飛ばされてしまった。
宙で身を捻り着地すると、手に付いた土を軽くはらう。
「 提案って? 」
ベンチに移動して水を飲むAに、スザクは頬をかきながらどこか言いにくそうな様子。
「 その……学校に行かないかい? 」
ベンチが二人分の重みにギジリと音を立てた。
隣に座るスザクは冗談を言っているようには見えないが、イマイチ話が見えず頭には疑問符が浮かぶ。
「 ユーフェミア様……ユフィが十七歳なら学校へ行くべきだって取り計らってくれてね 」
「 けど、私はスザクの一学年 上でしょう? 日本人としてブリタニアの学園に入るだなんて、お互い一人では…… 」
ユーフェミアの提案はとても嬉しく思うし、学生というものを体験したい気持ちもある。
だがクロヴィス亡き今、ブリタニア人の日本人に対する差別は留まることを知らず、生きにくい世の中が広がっている。
「 僕は行こうと思う。セシルさんもそうすべきだって 」
「 ……レオくんは? 」
「 彼も行くよ。まあ、在籍するだけで基本は軍務を優先するらしいけどね 」
少し悩んだ末に、二人が行くのならとAは頷いた。
毎日のようにここでナイトメアシミュレーターや、スザクと訓練するのもいいが、たまには息抜きも必要だろう。
「 良かった! 早速ロイドさんに伝えてくるよ! 」
嬉しそうに駆けていく後ろ姿を見送り、自分もそろそろトレーラーに戻ろうと腰を持ち上げたが、
「 !? 」
突然 頭が割れるような痛みを感じ、Aはその場に膝をついた。
「 な、なに……? 」
やがて収まっていく頭痛にようやく立ち上がり、Aは何かを感じとり前を見る。
そこには学園と道路を仕切る大きな石壁があるだけだが、隔てた先にはアッシュフォード学園の高等部がある。
「 寝不足とかかな 」
あまり気にすることはなく、Aはトレーラーへと戻った。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時