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一時はどうなるかと思ったが、伯爵であるロイドの名を使い、付近のアッシュフォード学園大学部の敷地を貸してもらえることになった。
有難いことに学部内の応接間まで一室 貸してくれるそうだ。
特に用はないが少し散策をと外に出ようとしたAだったが、トレーラーの出入口に仁王立ちするレオを見て、これは無理そうだなと悟る。
「 えっと……レオくん? 」
レオはAの手首を掴んで無言で歩くと、学園内に入り応接間へと連れていく。
勢いよく扉を開くと、中にいたロイドたちからの視線を一斉に受けたが、レオの纏うピリついたオーラにそっと身を引いていった。
「 バカだバカだとは思ってたけどここまでバカとはな! ナイトメアの前に素っ裸で行くやつがいるかよ!! 」
「 え、れ、レオくん…… 」
ユーフェミアが皇女だということを知らなかったとはいえ、危険な目に遭わせてしまったのは事実。
軍人としての自覚が足りなかったと反省する。
「 ごめん……。私がちゃんと見ていなかったから、ユーフェミア様が 」
「 違う!! 」
トントンと一定のリズムでつま先が床を叩き、行き場のないモヤモヤとした感情が胸を支配する。
己の白髪を掻きむしり、一呼吸 置いてからAを見た。
「 確かにお姫様は大事だけど、人の命は天秤にかけられるものじゃないだろ 」
レオが腹を立てている理由はトレーラーから出てしまったことではなく、ケイオス爆雷の銃撃から自分を盾にユーフェミアを守ったことにあった。
ランスロットの優れた防御あってこそ無傷でいられたが、そうでなければ最悪Aはあの場で死んでいただろう。
「 僕もレオに同意見だよ 」
「 スザク 」
「 ランスロットから君を見た時は心臓が止まるかと思った 」
ソファに座って静かに話に耳を傾けていたスザクが立ち上がり、Aの額を軽く弾いた。
ぺしんと乾いた音が鳴り、Aは額に手を当てて二人を見上げる。
「 もう自分を犠牲にしたりしないこと。僕とレオとの約束だ。……だから、そろそろ許してあげてくれないかい? 」
「 スザクさんが言うなら仕方ないですね 」
レオは年下なのにまるでAの保護者のようだ。
自分を犠牲にしない。
軍人であるからにはその約束を守れるとは言えないのに、Aは頷く他なかった。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時