【コードギアス】地上に舞う羽 (ページ36)

今日:34 hit、昨日:50 hit、合計:7,934 hit

9 ページ36

－－－－
－－

.

「 A、ありがとう」

攻撃が収まったことを確認すると、ユフィはAに微笑んでキューエルの搭乗するサザーランドの前へ進んでいく。

自殺行為にも等しいものであったが、キューエルはもちろん、他の純血派、ジェレミアやスザクたちまでもが動けずにいた。

「ユフィ……？」

その背中は一人のブリタニアの少女ではなく、Aの知りえない何かを背負っているように見えた。

「双方とも、剣を収めなさい！」

少女の声に、誰も指一つ動かせない。

「わたくしはブリタニア第3皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニアです！」

彼女の本来の姿はブリタニアの少女のユフィではなく、第3皇女のユーフェミア・リ・ブリタニアであった。

クロヴィスの訃報を受け、新たに総督として就任することなった姉とともにエリア11にやってきたのだ。

ユフィ、もといユーフェミアが下がるように命じると、サザーランドは彼女を囲むように跪く。

「皇女殿下！！」

「え…… 」

ユーフェミアによってこの場が収まったことを確認したスザクはランスロットから降り、これまでの非礼を詫びた。

Aもそれに続いて頭を下げると、ユーフェミアはとても悲しそうな顔をした。

ようやく出来た友達だというのに、やはり身分を明かした瞬間にここまでの距離ができてしまう。

彼らには、ユフィと呼んでほしい。

「スザク。貴方が父を失ったように、わたくしも兄クロヴィスを失いました」

「 ……！」

父という言葉を聞いた瞬間、スザクが息を呑む。

スザクの父は日本人なら誰もが知る、日本最後の総理大臣である枢木ゲンブだ。

同じように父を二度失った経験を持つAは、スザクの気持ちが痛いほどよく分かる。

「これ以上、皆が大切な人を失わなくて済むよう、力を貸していただけますか。枢木スザク、そして七瀬 A 」

Aとスザクはその場に跪き、左腕を胸の前に出した。

「イエス・ユア・ハイネス」

二人が口を揃えて肯定の意を示したが、依然ユーフェミアの表情は暗いままだった。

「はいは〜い、話は終わった〜？」

「ユーフェミア様、政庁までお送りします。こちらへ」

そこへセシルとロイドがやってくる。

後ろには鬼の形相でこちらを睨むレオがいて、Aはたらりと背中に冷や汗が流れるのを感じた。

.

－－
－－－－