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「 これでよしと。時間 取らせてごめんなさいね 」
「 いえ、そんな 」
セシルはメジャーをしまい、手元のバインダーに挟んだ紙に何やら記入をしている。
肩幅、腕幅、袖丈、至る所を採寸されたAは用途を問いかけたが、返事は「 秘密 」の一点張りだった。
「 今日は特に軍務もないわ。最近ゴタゴタが続いていたし、リフレッシュしてきたらどう? 」
「 では……行きたいところがあるので、少し出ていきます 」
「 えぇ。ゆっくりしてきてね。あと、これを 」
セシルが差し出したのは、白いシンプルな携帯だった。
噂には聞いていたが本物を初めて見たAは、それを恐る恐る受け取って開いてみる。
「 本来なら日本人が持つことは禁止されているわ。けど、ロイドさんが取り計らってくれて 」
「 ロイドさんが…… 」
「 私とロイドさんの連絡先を入れてあるから、何かあったらいつでも連絡してね 」
「 はい! ありがとうございます! 」
携帯をポケットにしまったAは、自室に戻って私服に着替えトレーラーの外に出る。
整備士と会話しているロイドを見かけたのでぺこりと頭を下げると、彼はニコニコと笑ってこちらに手を振ってくれた。
「 よし、行こう 」
「 どこに? 」
「 うわあ!! 」
神出鬼没という言葉は彼のためにあるのでないか。
G-1の出入口付近で壁に背を預けていたレオは、Aの服装を見て「 外へ出るつもり? 」と身体を持ち上げる。
「 行きたいところがあって 」
「 俺も行く 」
「 え! いや、私は 」
「 枢木 スザクの容疑が再検されることになったとはいえ、今のブリタニアをイレヴン一人で歩くのは危険だ 」
話を聞かずにスタスタと歩いていくレオはAを一度 振り向き、早くしろと言わんばかりにポケットに手を入れる。
何を言っても無駄だと観念したAは、駆け足で隣に並ぶ。
「 で、どこ行くの? 租界にお買い物ですか、センパイ 」
「 ううん、違う 」
「 クロヴィスランドに遊びに行こうとか? あいつが死んでからは営業停止中だけど 」
「 違うよ 」
Aの悲しそうな表情を見て何かを察したレオは、それっきり何も聞こうとはしなかった。
「 だから一人でもよかったんだよ 」
「 だから一人じゃダメなんだろ 」
まだ目的地を告げていないというのに、レオは先導してシンジュクへと足を向けた。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時