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「 あぁ、って言っても、俺はデヴァイサーじゃないから。整備担当 」
「 ご、ごめんね。私 挨拶してなかったね 」
「 別に。まぁ昨日 入ったばっかりだし 」
だったら知らなくてもおかしくないじゃん!!
と、心中で文句を言いながらAは頭を振る。
「 レオ・オーウェン。特派の仲間同士、ヨロシク 」
「 レオくん。よろしくね。私は…… 」
「 知ってる。Aセンパイでしょ 」
記憶に間違いがなければ、Aとレオは初対面のはずだが、どうして自分の名前を知っているのだろう。
その疑問が顔に出ていたのか、レオは馬鹿にしたように笑った。
「 脇腹、治った? 」
「 え? まあほぼ治りかけかな。なんで知ってるの? 」
「 それ撃ったの俺だもん 」
「 へ 」
ポカン、と口を開けて硬直するAをおいてヘッドトレーラーに入ろうとするレオの手を、「 ちょっと待って! 」と慌てて掴んだ。
「 何? 昨日 徹夜で整備して眠いんだよ 」
「 寝かせるわけないでしょ! これ撃ったのが貴方ってどういうこと!? 」
「 そのまんまの意味だよ。あんたが銃を奪って殺し損ねた兵士は俺だ 」
力が抜けてしまい、スルッとレオの細い手首がすり抜けていく。
「 イレヴンは銃火器の所持は禁止されてる。銃を持ったブリタニアの兵士相手によく突っ込んできたよな 」
軍に所属した経験のないAは勿論そのような制度を知るはずもなく、先程から驚きの連続で頭がついていかない。
「 レオくんはどうして特派に? 」
「 ……あの時、軍 向いてないなって思ったんだよ。あんたを殺すことが出来なかった俺には 」
「 辞めるって選択肢もあったんじゃない? 」
軍に所属する以上は、どこにいても血は流れる。
まだ子供なのだから学生にでもなればいい。
「 ……て、……かない、だろ 」
「 え、レオくんなんて? 聞こえな 」
「 だから! 女に傷作っといて俺がのこのこ逃げるわけにはいかないだろ! 」
Aの言葉を遮ってそう言い放ったレオは、「 もう寝る! 邪魔すんなよ! 」とドタドタとトレーラー内に消えていってしまった。
「 へぇ、レオ君の動機ってそんなことだったんだ 」
「 ロイドさん!? 」
「 彼、整備の知識 何一つないのに頑張ってるよ〜? 可愛がってあげてね〜! 」
…可愛がられるってキャラじゃないでしょ、あの子。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時