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「 スザクを助けてくれたことは感謝する。けど貴方にスザクは渡さない 」
「 まさか貴方のようなか弱い女性が軍人だとでも? 」
「 芽が生えたばかりのね 」
「 そうか、……生きていたのか 」
最後の方はくぐもって聞き取ることが出来なかった。
「 先程のジェレミアの話を聞いていませんでしたか? 国民と引き換えに枢木 スザクの身柄を受け渡す。取引は既に成立しているのですよ 」
「 ダメ! テロリストなんかに、スザクは渡さない! 」
ゼロはコツコツと靴音を鳴らしてAに近づき、唇にそっと人差し指を押し付けた。
「 申し訳ありませんがお家にお帰りください。……小さな軍人さん 」
「 な、んですって……ゼロ、貴様…っ! 」
まんまと挑発に乗ってしまったAは、ゼロの右手に握られたそれに気がつくことが出来なかった。
「 では、また会う日があれば 」
カチッという機械音とともにゼロが手元のスイッチを推す。
背後の機械からは紫色のガスが噴射され、国民はパニックになり逃げ惑う。
その混乱状態に紛れてゼロはスザクを抱え、橋の下へと飛び降りた。
「 スザクッ! スザクーーーーッ!!! 」
すぐに駆け寄って見下ろしたが、そこにはゼロの仲間と思われるナイトメアと、一体どんな手を使って手に入れたのかモノレールがあった。
スザクは電流が流れる首輪を嵌められているがために言葉を発することは出来なかったが、こちらに向かって手を伸ばすAを最後まで見つめていた。
ゼロに抱えられて落下していくその途中、スザクはAを見て口元を動かした。
「 ( す ぐ も ど る よ ) 」
「 ! 」
スザクの思いはAに伝わっただろうか。
ガタガタと揺れるモノレールの上で、ゼロはスザクの首輪を外す。
「 あの女は、知り合いか 」
「 仲間だよ 」
ゼロはそれきり何も聞こうとはせず、モノレールの上で月を眺めていた。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時