【コードギアス】地上に舞う羽 (ページ22)

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「案外バカなんだね」

「えっ？」

ガラスに拳を当てたまま、Aは俯く。

「これから処刑されるかもしれないっていうのに…人の心配するなんて」

「そうかな。僕は置いてきてしまったAのことが気がかりで仕方がなかったよ」

「ジェレミアは名誉ブリタニア人を犯人に仕立てあげられたらそれで良かったんだよ。どうしてあの時私のことを売らなかったの」

「この女も日本人だから僕のことは助けてくださいって？」

俯いたままコクリと頷く。

微かに聞こえた笑い声に顔を上げると、スザクは控えめに笑っていた。

「酷いな。確かにまだ関係は浅いけど、僕がそんな事するように見える？」

「 ……見えない」

数歩下がり椅子に腰かけると、そのタイミングで静かに見守っていたロイドが口を開いた。

「君に頼まれていた二人、遺体リストにはなかったよ」

「 …そうですか」

頼まれていた二人とは一体。
Aがロイドを見上げると、疑問に答えたのはスザクだった。

「ルルーシュと、あの女の子のことだよ。無事みたいだ」

「そっか。……良かった」

制服の上から脇腹に触れる。

まだ少し痛むが、この程度で二人を助けることが出来たのなら命をかけた意味があった。

「でも君の方は不利だなあ。裁判になっても君の味方はだ〜れもいない」

「しかし、法廷は真実を明らかにする場所です」

「明かされないことの方が多いと思うけどね。真実なんてものは」

ジェレミアも話していたが、軍事裁判などお遊びにすぎない。

検察官も、判事も、恐らく弁護人でさえもブリタニアの息がかかっている。

「裁判なんて、スザクを犯人に仕立て上げるための一種のショーだよ」

話しながらもやはり非常に腹立たしく、膝の上で組んだ手に自然と力がこもる。

Aの言葉にスザクは真剣な表情で言い放った。

「それが世界だと言うのなら、自分は未練はない」

数秒の沈黙の後、ロイドが立ち上がった。

「護送は明日の夜。僕としても、君みたいな優秀なパーツを失うのは非常に残念だよ」

去っていくロイドの後ろで、Aはスザクを振り返った。

「スザク、私最期のその瞬間まで諦めないよ。まだ貴方と何も成し遂げていないんだから」

護送は明日の夜。
だが、Aに出来ることは恐らく、何も無い。

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