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「 Aちゃん!! 」
「 スザク……くそ!! 」
部屋に入ってきたセシルはAを抱き起こし、服の裾を思い切り捲りあげた。
兵士に踏みつけられた時に傷口が開き、包帯からは血が滲み出ている。
「 処置をしましょう。Aちゃん、ここへ座って 」
「 ごめんなさい、セシルさん。スザクが連れていかれたのに、私 何も出来なかった 」
上半身だけ下着姿になったAは、セシルに包帯を変えてもらいながら己の無力さを呪った。
勿論ほんの数日前までただの日本人の少女であったAがブリタニアの軍 相手に太刀打ちする力があるはずもないのだが、それでも自分を責めずにいられなかった。
「 いいのよ。Aちゃんが無事でよかったわ 」
「 スザクはどうなってしまうのでしょうか…… 」
部屋の自動ドアが開く。
不機嫌そうに靴音を鳴らして入ってきたロイドはどかりと勢いよくソファに腰を下ろした。
「 さいっあくだよほんとに! 何なのあいつら! 僕の大事なパーツが〜!! 」
「 ロイドさん、こっち見ないでくださいね 」
セシルがそう声をかけるが、怒り狂ったロイドには届いていない。
そもそも異性という概念がない彼にとっては、歳若い少女の肌など興味もそそられないのだろう。
「 あの男! なんて言ったと思う!? “ 私はジェレミア・ゴットバルト辺境伯である。何か不服か? ロイド・アスプルンド伯爵 ”。だってさぁ!! たった一つ爵位が上なだけであの態度だよ! 」
いつものおちゃらけた態度はどこへやら、憤慨した様子のロイドは頭をかきむしり苛立ちを隠せずにいた。
傷の処置を終えたAは服を着て、セシルに感謝を述べる。
「 ロイドさん。スザクは、クロヴィス殿下を殺してなんかいませんよね 」
「 純血派の陰謀だよこれは! あ〜もう通常稼働率94%なんて適合率もう二度と現れないのに! 」
室内に不穏な空気が流れる。
A自身も溢れ出る怒りをぶつける先を見つけられず、やるせない気持ちでいっぱいだった。
名誉ブリタニア人であるスザクを殺害犯に仕立て上げて、国民の不信感を募り、ブリタニア人のみによる統治を実現しようとしている。
改めて考えると、彼らの行いは不愉快 極まりないものだ。
「 セシルさん、私、部屋に戻ります 」
「 Aちゃん…… 」
何か出来ることは無いのか。
少し、考えよう。
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りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時