4 ページ13
−−−−
−−
.
「 う…… 」
小さく声を上げて少女がゆっくりと目を開く。
蜂蜜色の瞳が最初に映したのは、こちらを心配そうに見つめるスザクの姿。
「 良かった……! もう大丈夫だよ、ここは軍の施設だから 」
「 枢木 スザクさん…あなた、こそ、無事で…いたっ 」
「 まだ動いちゃダメだ。貫通しているとはいえ、君は脇腹を撃たれている 」
上半身を起こすと脇腹に激痛が走り、顔を歪める。
スザクは少女の肩を優しく押して、ベッドに横たわらせた。
「 あなたが助けてくれたんですか? 」
「 うん。君を見かけた時はすごく焦ったよ。あの時ルルーシュといた女の子だったから…… 」
「 そうだ、ルルーシュくんは? 一緒にいた女の子は!? 」
またしても身体を持ち上げようとする少女を抑えながら、スザクは「 まだ分からないんだ 」と首を振る。
彼女が知らないとなれば、もう無事を祈ることしか出来ない。
「 ど〜も〜。ここのお偉いさんのロイドで〜す。こっちははセシル君ね。君の名前を教えてもらえるかな? 」
突然 割り込んできたロイドに、少女は少し気まずそうに視線を逸らした。
そして脇腹を抑えながらゆっくりと身体を起こすと、「 七瀬 A です 」と耳を澄まさなければ聞こえないほどの声で呟く。
「 やっぱり、君は……日本人なんだね 」
「 は、はい。すみません。すぐに、出ていきますから 」
スザクの言葉を差別的な発言だと認識したAは、視線に耐えきれず部屋を出ていこうとする。
スザクは細い手首を咄嗟に掴むと、自分も同じだと告げた。
「 いいえ、違います。あなたは名誉ブリタニア人です。私とは……違う 」
「 ここを出ていって、どこへ行くつもりなんだい 」
「 そんなものありませんよ。ブリタニアに何もかも壊されてしまいましたから 」
今の自分ではAをどうこうすることはできない。
困ったようにロイドの名前を呼ぶと、彼は待ってましたとばかりに大きく手を鳴らした。
「 A君だっけ? 色々 聞きたいことがあるし、ちょ〜っとここにいてもらっていいかな? 」
「 私にお話できることはなにも 」
「 いいからいいから! はい、こっちきてね〜! 」
ロイドはAの肩を押して医務室を出ていってしまった。
怪我人を丁重に扱えと憤怒して後を追うセシルを見送り、スザクも腰を持ち上げた。
.
−−
−−−−
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りり(プロフ) - 静香さん» ありがとうございます。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。 (2022年9月4日 2時) (レス) id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
静香(プロフ) - 更新楽しみに待ってます (2022年9月4日 1時) (レス) id: 96322907c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りり | 作成日時:2022年8月26日 0時