六時間目 ページ8
動悸が激しくなり、冷や汗が頬を流れた。
天神小学校?
Aちゃんが話してた、あの…?
足に力が入らなくなって、体が崩れ落ちる。
「一松兄さん!!」
倒れそうになった俺を十四松が受け止めた。
けれど、それに礼を言えるような精神状態じゃなくて。
俺は膝立ちになり、十四松の肩を揺さぶりながら叫ぶ。
「何なんだよ!!俺達何処にいるんだよ!!他の兄弟達は!?Aちゃんやトト子ちゃんはっ!?」
「お、落ち着いて兄さん…っ!!」
過呼吸気味の俺の背中を擦りながら、十四松は言う。
「大丈夫…、きっと大丈夫だから…!」
その言葉に、少し冷静さを取り戻す。
…そうだ、十四松だって不安なんだ。
十四松だって、怖くて、心細くて、泣きそうなんだ。
それなのに、兄の俺が取り乱してどうする。
「…ごめん、色々言っちゃって」
「ううん!…それより、どうする?」
その言葉に思考を巡らせる。
今しなければいけないこと。今するべきこと。
「……出口」
「?」
「…出口を探そう」
「出口?…でも、窓は開かなかったよ?鍵は開いてるのに、なんか、固定されてるみたいだった」
「…窓がダメでも、玄関まで行けば、なんとかなるかもしれない」
俺がそう言うと、十四松は真顔になった。
…けど、それは一瞬のことで、次の瞬間には、いつもの太陽みたいな笑顔に戻っていた。
「いいね!ここにいてもやることなんもないもんね!!そうと決まれば行きマッスルマッスル〜!!」
元気にポーズを決める十四松を見、力が湧いてきた俺は笑う。
けれど、これはまだ、悪夢の始まりに過ぎなかったんだ。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時