14話 ページ15
一悶着あったが、無事善逸が切符を買ったおかげで汽車の中に乗り込むことができた一行。
「うおおおお!!腹の中だ!!主の腹の中だうぉおお!!戦いの始まりだ!!」
「うるせーよ!!」
伊之助は相変わらず主だと思っているらしい。
七花は物珍しそうに車内を見回している。
「柱だっけ?その煉獄さん。顔とかちゃんとわかるのか?」
「あの人は目立つから気にしなくていいだろ」
炭治郎へ投げかけた善逸の言葉に答えたのは七花だった。何でもないように言った七花の言葉にどんな人だよと、想像がしづらくなった善逸。
その時
「うまい!」
車内に大声が響いた。
「うまい!うまい!うまい!」
大声で同じ言葉を連呼する人間。
普通近寄り難く感じるはずだが、七花は歩く速度を変えず、声の主へと向かって行く。
炭治郎と善逸、伊之助もそれに続いた。
そして声の人物の前で足を止める。
うまい、と連呼しながら駅弁を食べ進める煉獄に善逸は炭治郎に本当に柱なのかと確認してしまう。
「なあ、煉獄さん」
「うまい!うまい!」
尚も振り向かない煉獄。
「なぁって!煉獄さん!」
珍しく声を大きくした七花にやっと気づいたのか煉獄は七花達に顔を向ける。
「うまい!」
「わかったって、それは」
煉獄の隣に炭治郎が、その向かいに七花。通路を挟んで隣に善逸と伊之助が席についた。
炭治郎は煉獄を尋ねた訳を話した。
「うむ!そういうことか!
だが知らん!『ヒノカミ神楽』という言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!!」
言いたいことをはっきりと大声でいいから煉獄に炭治郎もたじたじだ。
「えっ?!ちょっともう少し...」
「俺の継子になるといい面倒を見てやろう!」
そんな会話が目の前で繰り広げられている中、七花は我関せず、といったように窓の外をぼんやりと眺めている。仮にも己がしばらくの間時を共にする炭治郎に対し、あまりに無関心だが、七花の場合これが平常運転であり、この女はある程度難しい話になると聞き流すという習性があるため、実は炭治郎が煉獄を尋ねたかった理由もよく理解していないのが現状である。
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作者名:声優2次元大好き! | 作成日時:2020年6月25日 18時