二十二本目の火柱 ページ22
朝になってまたあの酒場にいくと店主がまたニヤニヤと笑いながら喋り出した
『日本兵とガキの話はすぐに広まった。刺青の男に勝てる奴らが現れたと噂になっている。』
『大勢がお前らに賭けるが俺は刺青の男に賭ける。お前らがわざと負けてくれれば大勝できる。』
｢そ、そんなことより犬を返す約束は？｣
そうだ。
刺青の男のことで薄れていたがエノノカちゃんとそのおじいさんは彼らに犬を盗られている。
スチェンカに出れば返す約束だ。
｢�猗�百長が終わったら返す�瓩噺世辰討い襦�｣
そう聞いた瞬間杉元さんが店主をはっ倒す。
馬乗りになったまま黙る杉元さん。
アイヌには地域によって刑罰が違うらしい。
北海道のアイヌは鼻や耳を削ぐものがあるという。
谷垣さんがエノノカちゃんに聞くと凶悪な顔をして｢指の先っちょ、きるよ！｣と言った。
鯉登さんがつらつらと今後の予定を話す。
どうやらもうスチェンカはしないらしい。
……ふぅむ、残念。
『お前たちが持っていた写真の男の情報がまだある！！』
｢コイツの情報がまだあるのか？行方を知っているのか？｣
苦し紛れの嘘のように感じる店主の言葉に一応耳を傾ける月島さんはいい人だ。
みんな嘘だと思っているようで聞く耳を持たない。
｢ちょっと待った。本当に何か知っているかもしれない。｣
そう鯉登さんを止めたのは杉元さんだった。
すかさず反論する鯉登さんに月島さんや谷垣さんも賛同する。
｢……ごめんなエノノカちゃん。でも、アシㇼパさんの行方に繋がる情報として万にひとつでも可能性があるなら…俺は無視できない。｣
.
｢エッー！！私はスチェンカに出れないのか！！？｣
｢うん、先に俺達が刺青の男と戦うし……Aちゃんがスチェンカにでる意味がないんだ。｣
そんな……と項垂れるとごめんねと頭上から申し訳なさそうな声が降ってきた。
…まあここに遊びに来ている訳では無い。
無駄に長く居る理由もないのだ。
｢わかった……。｣
｢よし、ありがとう。じゃあチカパシとエノノカちゃんのこと頼んだよ！｣
｢…ああ、任せてくれ！｣
外で待っているであろう二人の元に向かう。
扉を開けるとちゃんと待っていてくれた。
が、
｢すまない！もどろう、か、…って、…何を持っているんだチカパシくん。｣
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
