二十本目の火柱 ページ20
｢逆に私は鶴見さんに忠義を誓った身だ。｣
｢何故見ず知らずの人に忠義なんか誓えるんだ。逆に怪しい。｣
うーん、鯉登さんを納得させるのは大変のようだな。
鶴見さんのことをとても尊敬しているようだし、下手に刺激できない。
｢それは私の魂とニチロセンソウを参加した魂がリンクしたからだ。｣
｢なに……？｣
｢彼とリンクした私は少しの間彼に体を預けた。そうすると彼は鶴見さんのところに戻ってきたんだ。｣
鯉登さん達もそうだが、死んでも尚鶴見さんのところに戻ってくるくらいだから鶴見さんの力はものすごいのだろう。
｢前いた場所への帰り方がわからない今、命の恩人である鶴見さんに彼の代わりに忠義を誓ったんだ。｣
そう伝えると鯉登さんは申し訳なさそうに顔を伏せた。
彼のことだから戦友を侮辱したーみたいに感じているんだろう。
｢その軍人は一体誰なんだ？｣
｢あー、それはわからない。彼が名乗らないからな。元々私はニチロセンソウを戦った魂とリンクするのは例外だしな。｣
すまない、と月島さんに謝ると構わないと言ってくれた。
月島さんも鯉登さんも谷垣さんも、彼のことを知りたいようだが、それは無茶に近い。
あまり私は魂の事情に干渉出来ない。
ただその魂のその時の感覚がするくらい。
｢私と波長の合う魂は今までなら名もなき兵士のみだった。
それこそ源や織田、徳川なんぞの大物なんかはめっきりダメだ。
…恐れ多いからな。｣
｢え……、Aちゃんいくつなの、…？｣
.
｢杉元さんちょっといいか？｣
みんなが寝静まった時、Aちゃんに声をかけられて振り返る。
…恥ずかしそうに、でも決心したような表情。
｢大丈夫だけど…もしかして眠れない？｣
｢あ、いやそうじゃなくて…。｣
モジモジして周りをキョロキョロ見ている。
ここだと話しずらいのかな。
｢こっちおいで。｣
｢ぅ、すまない。｣
なんだか年相応のAちゃんが見れた気がした。
(実の年齢はわからないらしいが。)
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
