○ ページ39
「……なんで笑うのさ?」
「いや…」
阿呆だな、とか、馬鹿だな、とかどうせそんなことを言うのだろう。
ふん!アンタは知らないだろうけど、私学校の成績は結構上位なんだからね!
テストの成績と天然には相関関係が無いが。そんなことを頭の中で考えていると、翠は満足気に笑って、言った。
「かわいいなって」
甘く、今まで見たことがないほど蕩けた表情でそう、呟かれた。
私は反応に躊躇うどころか、翠の端正な微笑みに惚けて、脳機能が滞った。
__かわ、いい?
やっとのことで反復された言葉は、翠の声で脳みそに張り付いた。
秒差で頭の上に火柱がたつ。
あまりにも、不意打ち過ぎやしないか。
恥ずかしさでままならない身体は、動かずにただ阿保面を翠に向けるだけだった。
「そんなに俺のこと心配なんだ」
「…………あ、う…あ、当たり前じゃん!」
「そんだけ俺のこと好きなんだ?」
「……………なんで言わせようとするの」
「聞きたいから」
膝を立てて私の目線に合わせて座る翠は、私とは違って余裕で高みの見物をしている。
見定めるように頬杖をついて私を見つめる彼は、『S』の代名詞が相応しい。
好きな子は虐めたい性分なのだろう。
「………ドS」
「なんとでも」
むっ、と口を尖らせると、それにも鼻で笑われる。
「……ドSならドSで、俺は都合が良いかも」
突然放たれた言葉に首を傾げる間も無く、翠は私の顎ラインをなぞりはじめる。
「な、なに?」
それだけで行動は止まる。故意に顔色を変えず動揺しない私がつまらないのか、翠は眉を顰めて頬を片手でつまみ出した。
「な、なにひゅんの」
「……いや」
無言で、頬を押されて反動で口が突き出た私を見るや否や、座る態勢を立て直す。
75人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
5674C(プロフ) - たまたまきんきんさん» 嬉しいお言葉恐縮です!ありがとうございます!! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
たまたまきんきん(プロフ) - やばい、まだ全部読んでないけどやばい、何このときめき、やっば。狂いそう。 (2022年5月18日 14時) (レス) @page27 id: 4c9c318806 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - 彩さん» 意識しました!!!!読んでいただきありがとうございます! (2022年3月21日 0時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - なんだかめっちゃ青春!!! (2022年3月20日 16時) (レス) @page48 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - ちゅーしちゃうぞ♡さん» ありがとうございます!!最後まで楽しんでいただけて、とっても幸いです!!^ ^* (2022年1月17日 6時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:5674C | 作成日時:2021年12月27日 14時