寒暖差には気を付けろ ページ3
着物の仕立て直しをするべく、呉服屋へ足を進める。
綺麗なユリの模様が入っているこの着物。
私の誕生日に二人がくれたのだ。
親子揃ってそっくりな顔立ちの二人が、不器用ながらに着物を選んでくれていたと思うと、自然と笑みが溢れた。
夕方にはあの人も帰ってくるだろう。
『お土産でも買って帰るか。』
軽い足取りで町を歩く。
そういえば、先程までの暑さはどこへ行ったのだろう。
少し肌寒いくらいだ。
それに、心做しか空も暗くなってきている気がする。
雨でも降るのか?
夏の天気はコロコロと変わる。
突然雨が降りだしてもおかしくはないのだが…
これはさすがに…
『おかしい、』
空からふわふわと落ちてくる白いもの。
いつの間にか、辺りは銀世界に変わっていた。
突如として現れた寒さに耐えられず、ユリ模様の着物を取り出し羽織る。
真夏に雪?
そんなことがあり得るのか?
今起きている出来事に理解が追い付かない私は橋の上で立ちすくんでいた。
「また逃げられたアル。」
「だから言ったじゃん。そっと近付かなきゃ駄目だって。」
聞き覚えのある声。
声の主を確認すると、見覚えのある二人が歩いていた。
『新八くん!神楽ちゃん!』
名を呼ぶと、二人はこちらを凝視した。
『一体何なの?!この天気!』
『二人とも大丈夫?寒くない?』
当たり前のように声をかける。
そう、ごく普通に“いつも通り”だ。
新「えっと、」
神「誰アルか?」
誰?それは私に言ったのだろうか。
『え…?何の冗談…?もしかしてドッキリ?』
この二人のことだ。
何かのドッキリだろう。
そう思っていた。
でも、二人のこの反応はなんだかいつもと違う気がする。
新「それより、そんな薄着で大丈夫ですか?僕の羽織りで良ければお貸ししますよ?」
神「ちゃっかりナンパしてんじゃねーヨ。」
新「違うわ!!」
あれ、そういえば神楽ちゃんはこの前宇宙に行ったはず…
新八くんも道場が忙しいって…
気持ちの悪い違和感に私は気付き始めている。
これはまずい。
何か良くないことが起きている気がする。
神「あ!銀ちゃん!」
心臓が大きく跳ね上がった。
新「まったく…どこ行ってたんですか?」
後ろを振り返ってはならない。
その声を聞いてはならない。
だってこんなこと絶対に────────────
「どこって…あれだよあれ。」
「【ピー】チンコが俺を呼んでたからよ。」
あり得ないのだから。
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Mugino(プロフ) - 壊さん» 壊さんコメントありがとうございます!!今日明日中には更新できると思います🔥💪お褒めの言葉とっても嬉しいです🥺ありがとうございます😭✨️ (10月19日 13時) (レス) id: 8563ed1f80 (このIDを非表示/違反報告)
壊(プロフ) - あの、続き書いてくれませんか?とても面白くて、続きが読みたいです! (10月19日 3時) (レス) @page9 id: 701fbdee56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mugino | 作成日時:2023年10月10日 17時