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佐久間先輩に連れられたのは、大きな食堂、

ではなく、


「おー!翔太おつかれ〜」

「お、佐久間…と、え!Aちゃんじゃん!」




こじんまりした共同スペースのテーブル。



サンドイッチ片手に、スマホをいじりながら、

「何か久しぶりじゃない?俺ら会うの」


唇の端にマヨネーズを付けて微笑むこの人ね。




渡辺翔太。


誰が見たってイケメン。

それに、クールな見た目に反して優しいの。



"しょっぴー"なんて可愛く呼ばれてるし、

よく笑うから楽しくて、単純に好きな先輩。



でも、どっちかっていえば、結構ピリッとしてる。



こういう血が好きな子もいるんだろうけど、

私は甘党だから、あんまり惹かれないんだよね。






「ねえまたチョコだけ?佐久間さん心配」


トートバッグから取り出した、
チョコレートとカップのミルクティー。



『…お腹いっぱいになると、午後キツイから、』

「ちゃんと食べないと、身体壊しちゃうよ?」



佐久間先輩の心配も嬉しいんだけど、


「でもそれわかる。怠くなるっていうか」


翔太先輩の細かなフォローは、もっともっと嬉しい。




「けど、なんか照みたいだけどね」

「俺がなんすか?」



口の中に広がるカカオにごまかされて、

かんっぺきに近づく香りに油断してた。




「A、おつかれ、」

『ごめんなさいお先に失礼します』



甘いシロップみたいな香り。


本能に飲み込まれる前に、その場から逃げるように立ち去った。

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作者名:夜永。 | 作成日時:2021年1月26日 2時

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