照くん、離れてください！ (ページ2)

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「Aちゃーん、いる？」

2限目が終わって、レジュメを片付けていると、

教室に入ってきた佐久間先輩に名指しされる。

『佐久間先輩、お疲れ様です』

「おう！おつかれ～」

佐久間大介。

照くんと同じ教育学部の先輩。

厳密に言えば、

私は人間と吸血鬼の間から生まれたハイブリッド。

だから、嗅覚は人間の100倍くらいはある。

佐久間先輩は、見た目すごく可愛らしいの。

だから漂う香りも、お花みたいに優しい。

モテない！モテたい！、って騒いでるけど、

こんなにいい香り漂わせてるのに
周りは気がつかないなんて、

かなり損してるよ、いろいろと。

「ね、今日3限ある？」

『今日はないです。次５限なんで。』

「よっしゃ！じゃあ一緒に昼飯食お！」

『あ……はい、わかりました、笑』

私たちにとって食事って、別に必要じゃない。

それに、人間の食べるものなんて、

ほぼ味がしないの。

味がするものっていったら、

例えば、手で握ったおにぎりとか。

ほんの少しついた体液を味わって食べてる。

こんな話、変態っぽいのは重々わかってるよ。

でも、これが吸血鬼であるが所以で、

そうやってずっと生きてきた。

正直、食事に関しては人間が羨ましい。

「俺ね、今日彼女に弁当作ってもらったの」

『えー！いいなあ～！
って、何気に惚気じゃないですか！』

私だって、好きな人と"おいしい"って感情、

分かち合いたいもの。