胡蝶の継子 (ページ12)

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じゅうにページ12

帰りの人力車に揺られながらカナエさんに聞く。
「どうして、お館様がよかったら、鬼の私が生きていられるの？ ……ですか」
うふふ、と笑いカナエさんは答える。
「お館様の家系はね、〝勘〟がいいのよ。ほとんど勘であてられるの。まあ、何はともあれ良かったじゃない？これでAちゃんも呼吸の習得が可能ね！」
カナエさんは嬉しそうだ。
けれど、私は、カナエさんのある言葉に疑問を持った。
(呼吸……ってなんだろう。息を吸って、吐く一連の動作が技に必要なのかな……)
「ねえカナエさん、呼吸ってなんですか？」
「あらぁ、敬語、使えるようになってきたのね、Aちゃんは物覚えがいいのねぇ！あ、呼吸の話だったわね。私たち鬼殺隊は、鬼と渡り合うために、自分たちの身体を強化するの。で、自分たちに合った強化をするために、様々な形があって、それを呼吸っていうの。ちなみに私とカナヲは花、しのぶのは蟲、の呼吸を使っているわ」
人それぞれの呼吸……。
「私、お姉さんと同じやつ使いたい！私を鬼から助けてくれたの、かっこよかったなぁ！あ、私は、なんの呼吸を習いますか？」
「興奮すると敬語が抜けちゃうのかしら？残念だけれど、Aちゃんが習得するのは花の呼吸よ」
「え、蟲じゃだめなの？」
「ええ、蟲の呼吸では、鬼の首は斬れないわ」
カナエさんがいった。
(それって……)
「それってお姉さんが弱いみたいじゃない！私を鬼から守ってくれたの！だから私もお姉さんと一緒がいい！ねえ、いいでしょう？」
カナエさんからは一向に返事がなかった。

(え……着いたけど、私この雰囲気で「ご到着致しました」っていわなきゃなんないの？)
不憫な隠である。