に 胡蝶しのぶside ページ2
「私は胡蝶しのぶです。鬼殺隊という鬼を斬る者の一員です」
そう簡潔に述べる。
少女は返事をしなかった。
ただただ真っ暗な瞳で、私を見つめ続けた。
少女をよく観察してみると、何かで切られた跡や痣が身体中に残っていた。
明らかにさっきの鬼との争いでできた傷ではないことから、虐待でもされていたのだろうかと考える。
沈黙が五分も続いた頃、私は居心地が悪くなり
「あの……」
と、言葉を続けようとしたときだった。
「へえ〜!こいつ〝鬼〟っていうんだ!」
明るい口調で話しだした。
しかしその口調とは裏腹に真っ暗な瞳と憎しみに満ちた雰囲気だった。
「私の大事なお父さんとお母さんを殺したんだ。……こんな奴、ぐしゃぐしゃになってしまえ」
ッダァン!!
少女は毒にやられた鬼のあたまを踏み潰した。
そのあともグシャッ、グシャッと嫌な音が続き、身体のパーツが判別できなくなった頃に、少女はこちらをしっかりと捉えて
「私、東條Aっていいます! 10歳です! お姉さんこいつらを殺すところにいるんだよね、いれてよ! とーっても大切なお父さんとお母さんを殺したこいつが憎くてたまらないんだ!」
元気に自己紹介をした。
内容は、名と歳と鬼殺隊に入りたいとのこと。それに加え、この子は両親のことを━━大切なお父さんとお母さん、といった。
身体の傷は、両親によるものではないのか?
そんな疑問を抱えながらも、鬼殺隊入隊希望であることから、取り敢えず屋敷に持ち帰ることにした。
「では、私についてきてください。まず、身体の汚れなどを落として、異常がないか診察してからですので」
呼ぶと、少女はとことこと私のに近づいてきた。
遠くからだとわからなかったが、この子の身長はあまり私と変わらないようだった。
「よろしくね、お姉さん!」
少女は嗤った。
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作者名:カナリア | 作成日時:2019年11月5日 23時