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終幕 ページ27

海の見える丘。無月が飛び降りた丘の上には墓が出来ていた。墓には『太宰無月』と名が彫られている。

そこに一人、見舞いに来た人物が居た。治だ。


「無月さんが死んでから私も真似してみたのだよ。自 殺をね。それが案外嵌ってしまってね。あの時の無月さんの云ってたことがよく分かったよ」

「無月さんはどうして自 殺をしていたの?私には未だ理由が掴めて無いよ。無月さんの真似をすれば分かると思ったのにね。とんだ見当違いだったよ」

死の世界(そっち)は楽しい?死んだ友人には会えた?生の世界(こっち)の世界は相変わらずだよ」

「国木田君が口煩くてね。それを見て育ったからか、敦君も心做しか口煩くなってきたのだよ。本当、困ってるんだ」

「そう云えばね、乱歩さんと社長に宜しくって伝えといてって云われたから伝えたのだよ。乱歩さんは「そんな心の篭ってない宜しくは要らない」って云われて社長は無月さんが誰だかも分かってなかったみたいだよ」

「もう、社長とこの世界であったことがないならそう云ってくれなきゃ困るよ。おかけで私が大恥かいてしまった」

「あ、織田作がね小説を書くんだって。とある人に何か云われたみたい。でも武装探偵社は辞めないって云ってた。無月さんが紹介してくれた場所だから、って」


ペラペラとここ最近の出来事を墓に伝える治。もう伝えることが無くなると「よっこらせ」とジジくさい掛け声と共に立ち上がる。


「私と(あなた)は違う。だからね何回でもここに来るよ」


そう、無月――いや、治に伝えると治は姿を消した。またここに来るまでに土産話いっぱい作っとかなきゃ、と云って。

治が太宰治の墓(ここ)に来るのは明日か、はたまたは一年後か。其れは治にしか分からない――。

Fin

太宰誕生日記念→←虜



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作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月1日 2時

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