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待って ページ25
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「もう身体の殆どがちゃんと機能をしていない。それなのに、何故か君の声が聞こえる。同一人物だからかな」
治は何も云わない。
「嗚呼、本当は美人と一緒に逝きたかったのだけれどね。他人を巻き込むと国木田君が五月蝿いのだよ」
治は一歩、足を踏み出した。
「若し、この身を海に投げ出したとして何時ものように敦君は私を探しに来てくれるのだろうか」
治は手を、無月を掴む為、伸ばした。
「きっと濡れて帰った私と敦君を見て谷崎君が困ったように笑うんだ。そして、日の匂いがするタオルを差し出す」
治の手は宙を切った。
無月の身体は重力を逆らうことなく海へと向かっていく。
「最後に、乱歩さんと社長に宜しく伝えといてくれないかい。君達の就職先だ」
ドボンと大きな音をたて、水飛沫が舞う。もう、無月の姿は見えない。
「…最後まで私の名を呼んでくれないのだね。……仮令、同じ人間だったとしても、一度は…一度は名を呼んで欲しかったよ……」
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