逝った先は――【文豪ストレイドッグス】 (ページ11)

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人違いページ11

織田作は不発弾の回収に勤しんでいるらしく今日も朝から疾い時間に家を出ていってしまった。私も是非とも行きたいと云ったのだが、織田作から反対され今私は不貞腐れ乍外を散歩していた。

「ッ手前！そんな処に居やがッた！！」

がしっと力加減を知らない男に肩を掴まれる。そして聞きなれた声。肩を思いっきり引っ張られた為、後ろにいた声の主の顔が見えてしまう。

矢張り予想的中。私は眉を顰める。

「げえ。中也」

夕日の様な髪色をした男、名を中原中也。私が最も嫌う人間である。如何やら中也は私をこの時代の太宰抑えると勘違いしているらしい。私の肩を離すことなく其の侭引きづってポートマフィアへ向かう。

「違ェ外套着てりゃア、バレ無ェとでも思ッたか青鯖。残念だッたな。手前の行動は外れた」
「残念だなのは君の頭だよ。私は君の云ってる人物じゃあない」

私がそう云うと中也は鼻で笑うと云う。

「そう云って逃げる魂胆かァ？太宰。手前も落ちぶれたな」
「うわあ、此の蛞蝓本当に話通じないんだけど」
「ンだと！！」
「事実だし」

結局私は其の侭引きずられるとポートマフィアに連れられ幹部室に入れられる。目の前にどさりとこの時代の私が溜め込んだであろう書類が中也の手によって置かれた。

「疾く遣れ」
「だーかーら！人違いだってば！」
「そんなに蹴り殺されてェか？」

「手前には拷問もやって貰わねェといけねェンだ。さっさと遣れ」と云う中也の言葉を聞いて私は「はあ」と大きく溜息を着くと書類に目をやった。書類の一番上にはミミックの書類で私は手に取る。

「其れ、疾く仕上げろよ」

中也は吐き捨てるかのように云うと「手前と同じ部屋なんざ反吐が出る」と云って部屋から出ていってしまった。

私は又溜息を着くと独り言を呟く。

「まあ、彼奴等を知る手掛かりだ。やってあげてもいいかな」