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30-音楽室で- ページ30

錦「おっしゃー」


友だちが急に恋人に変わる瞬間。

ドキドキする気持ちは

手を繋いでいるからということもあるけれど、

章大くんの想いを抱えたまま、

伝えることのできなかった想いがあるのに

それを受け入れると言った亮くんの優しさにもドキドキしてしまったから。


友だちとして好きだった亮くんが、

恋人として好きになっていく音がした。


それでも新年を過ぎた冬休みには出掛けることもなく3学期を迎えて、

バレンタインがやってきた。

1月末から練習してたチョコレート作り。

本番用はなんとか形になるものが出来上がって安堵しながら、

放課後、音楽室で2人きりになった時に渡したトリュフ。

音楽室での密会は、亮くんとになっていて、

章大くんが座っていた場所に亮くんが同じように座るから、

最初は章大くんを思い出したけど、

ギターの音も歌声も。

触れる温度も違ったから、

だんだんと亮くんが上書きされていった。

そして。

バレンタインが数日過ぎた日。

いつものように音楽室で背中合わせ。


『ねぇ、亮くん。今日はなに弾…』


左に振り返って亮くんに、

なに弾く?と問いかけようとした時に、

亮くんの唇が私に触れる。

低い位置を通る太陽のオレンジ色の光がピアノに反射している中、

はじめてのキスを亮くんとした。


春休みになってから、

亮くんがバンドの練習という日にスタジオに連れていってもらったり、

その帰りにカフェでデートしたり。

一つずつ思い出が増えていくと、

桜の咲く時期がやってくる。


クラス替え。

亮くんと同じになる確率は1/5。

ドキドキしながら一緒に登校して、

同じクラスだったことに嬉しさがこみ上げた。

それでもクラスで目立たないようにすることに変わりはなかったし、

亮くんは休み時間にはイヤホン、スマホのスタイルを崩さなかったので

私たちのことは気にする人もいなくて、

何事もなく日常が過ぎていく。

登校は一緒だったし、

変わらずに音楽室で密会はしていたし。

帰りも一緒に帰って、

音楽室に行かない日には制服デートをしたりした。


季節はまた雨を連れてきて、

照れることなく同じ傘に入るようになった頃には、

私はもう章大くんへの気持ちよりも

亮くん…亮といるのが普通になっていた。

31-雨の季節-→←29-押しの強さ-



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華絢(プロフ) - 蒼乃碧さん» どうなりますかねぇ(ノω`*)んふふ♪ もう、なるように…的な(´・ω・`) (2018年4月1日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - くはぁ、せつない…(´;ω;`)これからどうなるのかな…。 (2018年4月1日 6時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
華絢(プロフ) - ひみささん» ひみささん、いつもありがとうございます(〃ω〃) 珍しく学生設定にしてみましたー♪ お付き合い頂けたら嬉しいです(〃ω〃) (2018年3月22日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開ありがとうございます(*^^*) 高校生なんですね〜、黄色もあるんですね〜、色々楽しみです♪ (2018年3月22日 14時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華絢 | 作成日時:2018年3月22日 13時

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