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16-秋の気配- ページ16

錦「あのさ」


『ん?』


錦「あー…なんでもない」


『?』


錦「ええねん。

って購買行かなくてもええん?」


『…あ…』


私のお昼ごはん。

何とか残っていたパンだけになってしまって落胆している私の後ろ。

なぜかついてきた亮くんに


錦「残念やったなぁ」


とバナナオレ片手に笑われた。

それが悔しくて、手を伸ばしてパシッと二の腕を叩く。

それに対しても笑ってくるから、


『亮くん、案外いじわる…』


なんて呟いたら、


錦「怒らんでよ?ごめんって」


なんて言いつつ、飲みかけのバナナオレ渡されて、


錦「それ、やる」


と後ろ手で手を振りながら行ってしまった。

手渡されて、無意識にストローに口づけてからハッとする。

…これって、間接キス…?

無意識にしたことだけれど、

意識してしまったら、

一瞬にして顔が火照ってしまうから俯いた。


そんなことがあっても亮くんは変わらなくて、

午後の授業もその後も。

朝も日課のように家の前に居たりする。

約束なんて何一つしていないのに、

どうしてこういうことをするのだろうか。

章大くんへの気持ちが沸き上がっていっぱいになってしまった心に、

そういう亮くんの行動は痛く辛くなって来ているのに、


錦「はよ」


朝にこう言われてしまうと、

疑問を問うことができなくなって、

いつものように心の奥に沈んでいく。


この場所に居るのが、章大くんだったらいいのに。


そう思うんだったら、

亮くんにはっきりと、

もう来ないで。

と言えればいいのに、

すべてに臆病な私にはそんなことを言えるはずもなくて、

こういう風に…曖昧にしてしまうということは

亮くんをいつか傷つけてしまうとわかっているのに、

そんなことを続けたから…

夏休みが終わって新学期になって少ししてから。

秋の気配がし始めた頃。


錦「付き合わへん?」


朝の挨拶よりも先にこんな言葉が飛んできた。

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華絢(プロフ) - 蒼乃碧さん» どうなりますかねぇ(ノω`*)んふふ♪ もう、なるように…的な(´・ω・`) (2018年4月1日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - くはぁ、せつない…(´;ω;`)これからどうなるのかな…。 (2018年4月1日 6時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
華絢(プロフ) - ひみささん» ひみささん、いつもありがとうございます(〃ω〃) 珍しく学生設定にしてみましたー♪ お付き合い頂けたら嬉しいです(〃ω〃) (2018年3月22日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開ありがとうございます(*^^*) 高校生なんですね〜、黄色もあるんですね〜、色々楽しみです♪ (2018年3月22日 14時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華絢 | 作成日時:2018年3月22日 13時

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